明確な悪がいない。だから、怒りの矛先をどこに向けたらいいかわからない。わからないからますます苛立つ、そのうちに執着になり、それ自体が目的になってしまう。
重くて苦しいテーマだけど、少しの救いがあって良かった。
古田新太の憑き物がいるような演技が怖かったなあ。
どこか浮いている娘、文句言いながらも慕ってくれる弟子、登場人物全員がリアルだった。特に、寺島しのぶのような押し付けがましい人ってリアルにいる。自己満足な優しさを人に与えることで自分の隙間を埋めるような。
古田新太にはそばにいてくれる弟子や元妻がいたけど、松坂桃李には(自分のそばで救いになってくれる人が)誰もいないのが見てて辛かった。(寺島しのぶは求めてない優しさだと思うから)
古田新太が娘に対してなんでそんなに執着してるのかわからなかったけど、漁師みたいな職人気質ってこういう人多いと思うから、そこもまたリアルかな。
いなくなってからあんなに頑張れるくらい大切だったなら、生前からもっとわかりやすく愛して関わってあげてほしかったけど、それができないからこういうことが起こるんだろうな、、。
最後イルカでじんわり。
あと藤原季節やっぱ好きだわあ。イケメンなのに、こういう眉間に皺が寄った柄の悪い兄ちゃんみたいな役も似合うんだよな。演技力もだけど、ガタイが良くて地黒だからなのだろうか...。