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空白のneroliのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
4.5
「どう折り合いをつければいいのだろう?」
 
娘に関わってこなかった父親、添田。
 
娘が事故で亡くなる前の晩、娘が父親に何か言いたそうにしていたが、きちんと聞かなかったことを後悔。
 
娘がなくなった後、娘のように絵を描いてみたり、娘が好きだった漫画を読んでみたり…。
 
娘について知ろうと努力しているが、
娘と向き合わなかったことへの後悔は受け入れがなかなか難しい…。
 
 
この作品は「ドライブ・マイ・カー」と似ていると思いました。

 
ところで、「精神科医、キューブラー・ロスの死の受容」有名な五段階があります。
 
「死」を目の前にした人間の反応を書いていますが、もちろん、家族にも当てはまります。
 
①「否認・孤立」
②「怒り」
③「取引」
④「抑うつ」
⑤「受容」
 
娘のことに無関心だった添田は、
①「否認・孤立」
娘はマニュキュアを盗んでないと言い張る、いじめではないか?と学校にクレームを言うなどの行為。
 
②「怒り」
スーパーの店長にクレームをつける、学校にクレームをつける、事故の際、車を運転していた人が謝っても無視するなどの行為。
 
最後の方では、店長に謝ったり、元妻に謝ったり、
④「抑うつ」の方向へ…。
 
こういう場合って、「どう折り合いをつけたらいいのか?」と、
⑤『受容』がむずかしいのかな…。
 
ずっと後悔をしないといけないのかな…。
ずっと向き合っていかないといけないのかな…。
 
 
改めて、『空白』の意味は?
 
折り合いをつけようと娘に対しての情報を集めている、今更、娘との心の交流を求めているが、難しい。
 
なかなか心の充足が満たされないという意味での「空白」でしょうか?
 
 
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