2022

空白の2022のネタバレレビュー・内容・結末

空白(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

娘を交通事故で失った父親が現実を受け入れるまでの必死で醜くて人間くさい話
怒りと諦めと再生、その過程で揺れ動く人間の機微が気持ち悪いほど丁寧に描かれてて見応えが凄い
物語冒頭で事故死する女子中学生の娘が学校や家庭での息苦しさに抑圧されている姿は見てて辛かった そんな娘のこと何も分かっていないまま暴走する父親も、事故の引き金として責められ続け謝罪しか出来ず追い込まれていく加害者側の人たちも、自分の中の善意を押し付ける正義面おばさんも、ぜんぶが生々しくて、非日常のようで私たちが今生きている時代の嫌なところを淡々と切り取っているみたいで、この監督の人間に対する多面的な観察眼あってこそのものだと思った
やっぱり特に高圧的で自己中心的かつ自己陶酔的な父親があまりにも"いる"人で見てて苦しくて、どうしようもなくて、こいつは一生このままだと思ってたけど、物語の中でゆっくりゆっくり何かが変わっていって、そこに至るまでの時間や喪失を丁寧に描くことで確かな光のある終わり方になっているところが良かった
亡くなった娘の気持ちはもう誰も語る資格が無いし知りようがないし世界は最悪だけれど、あの絵が世界に残って誰かが変わるきっかけになり得るのは希望だとおもつ
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