もやし

青くて痛くて脆いのもやしのネタバレレビュー・内容・結末

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台挨拶ビューイング付き上映


楓と秋好で作った『モアイ』
終盤で秋好は『待ち合わせのような場所』と言っていた。楓は自分と秋好の関係を縁取る箱に名前がついたように思っていたのかなと。名前がついたけれどモアイの空間は透明な箱のような周りに見えない、二人の空間として気に入っていたんだなと思う。

大学1年のときのモアイを作った頃の顔と
大学3年のモアイを潰すことを考え始めたときの楓の顔の変化がとても良かった。
1年生の時はふんわりとした顔の印象だったが、潰すことを考えたときの楓は周りにも止められないエネルギーを持った、血気迫る瞳をしていた。吉沢さんの目の演技が好きだと感じた。

モアイをSNS炎上させるシーンは
楓の今のモアイに対しての言いたかったことを周りの人間も思っていたことでとてつもない開放感があったのではないかと思う。年齢的に大学生に被っている身からすると、その部分にタイトルにある青さや痛さを感じた。

"楓の中"の秋好は死んでしまった。
だからモアイのなりたい自分になるが暴走した結果がああなってしまった。
吉沢さんは演じる楓について、嫌いになられるタイプのキャラクターと雑誌などでおっしゃっていた覚えがあります。自分はタイプ分けすると陰のほうなので楓の気持ちは少しわかるなと。

秋好はどこまでも真っ直ぐで、きらきらしていた。自ら光を放つキャラクターでひとつのきっかけで周りと馴染んでいく。秋好は理想を語ることから、現実を知った。
現実を知ってなお道を自分で見つけていく演じる杉咲さんから芯の強さやエネルギーが伝わった。杉咲さんのきらきらとした負のエネルギーを跳ね除けるような雰囲気がとても良かった。

間に合わせだったんだろ、という楓の言葉に秋好は傷ついたと思う。そんなつもりは全く無く離れていったのは楓だったのに。
それに対して、そんなつもりが無いけれど
そうだったかもしれないと答えた秋好の誠実さが楓には余計眩しいのだろうと感じた。

年齢から出る行動の "青さ" "痛さ"
それによって関係が崩れていく"脆さ"
原作未読ですがとても上手くまとまっていた様に感じた。
もやし

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