しゃけ造

ミッドサマー ディレクターズカット版のしゃけ造のレビュー・感想・評価

4.9
 ホラー映画に見せかけたドラマ映画の長尺バージョン。
 前回見たときはダニーがめんどくせえヒスにしか見えなかったが、みなおしてみるとクリスチャンはその比にならない程のクズ野郎。いい加減なことを言う、自分の都合のいいように物事を解釈する、回りのことを考えずに八方美人を演じようとするなど屑の要素が多すぎる。
 ヘレディタリーもそうだったが、アリアスターは独自の演出を持っている点がいい。追加されたのは多分池のくだりだろうか。あそこも含め、常に見ている側をぞくぞくさせ続けるようにしている工夫が素晴らしい。
 欠点をあげるとするならば、予想できる文化相対主義を裏切れなかった点。その点では、驚きのあったヘレディタリーが好み。でも確かに、この映画は異文化の恐怖が主題ではなくダニーの精神の解放、日本で言えばリトルフォレストみたいな映画だろうことは理解できたので、あんまりホラーとして評価すべきではないのかもしれない。
 いい共同体じゃないか