mk

ミッドサマー ディレクターズカット版のmkのレビュー・感想・評価

4.5
好きな女優は?と聞かれたら、フローレンス・ピューと答えることが多いのだけど、大抵「あ〜 ミッドサマーの人ね!」という返しがくる。ミッドサマー鑑賞なしに、彼女を語れない気がしたので、ついに観てみた。元ネタとされている『ウィッカーマン』は結構好きなので、少し期待が高まりつつも、filmarksの評価はまさかの3.4なので、期待値は低め。

結果的には、めちゃくちゃ良かった!

懸念点であったグロ表現は、思っていたほどではなくて、(公開当初から気になってはいたので、ネタバレは散々読んでいて、グロいシーンの覚悟はほとんどできていたっていうことが大きいけれど)平気だった。でも映画館でいきなりは厳しい。

そして、どうせならとディレクターズカット版を観たけれど、170分という長さが全く負担でなかった。フローレンス・ピューが大好きな時点で、彼女が画面に写っていれば、それだけで満足ではあるけれど、彼女の演技が凄く上手い。共感して、追体験してしまうから、このホルガ村の世界観に没入する。彼女をより好きになる映画だった。
不快なホモソ環境に身を置き、尚且つ恋人依存状態の主人公が、それらのしがらみから解き放たれるという筋。すごくフェミニズム的であるとも思う。ラストの笑顔が最高に良かった。
考察でも色々言われている残りの儀式がすごく気になるところだけれど、この終わり方が1番だと思う。

白夜で時間の経過や感覚が分かりにくいのも、また不穏で効果的であるし、明るく華やかなボルガ村の風景はもちろん、所々花が動いていたり、観客側も幻覚に陥った気分になり、目が離せない。

個人的な感想としては、私自身、高齢出産で生まれた一人っ子、そして、頼れる友人や恋人、親戚もろくにいないという境遇。今は孤独でないけれど、孤独になる可能性が普通より高いことを考えると、時々不安になる。そしてもし、孤独になった時、私はどうやって自分を癒すのだろうとよく考える。この映画を観ると、家族を失った彼女が、すぐに非現実的な場所で過ごすことができたのは、なんだか羨ましいなぁと感じた。
と、ここまで書いたけれど、
「あれ現代的ホモソやセクシズムから離脱して、完全にコミュニティの歯車(産む機械というか生殖機械)として生きることに祝福と救済を見出す話なので、あの映画でわりとカタルシスを覚える(僕も覚えた)ということは、いまカルト的には実はかきいれ時なんだろうなと思う。コロッといく人多いと思う。」
というツイートをTwitterで見つけてしまい、映画の本編よりも怖さを感じた。
mk

mk