クリストフォルー

街の灯のクリストフォルーのレビュー・感想・評価

街の灯(1931年製作の映画)
4.6
「モダンタイムス」から始まった、東宝東和による《ビバ!チャップリン》と銘打たれたリバイバル上映で“チャップリン映画”を初めて観た。無声映画(無台詞映画)は初めてだったが、モノクロなのに鮮やかに映し出される世界と、それを見事に盛り上げる劇伴。台詞がなくても、人物の感情が十二分に伝わる画作りと、いままでに見たこともない動きが繰り広げられるギャグシーン。これが“チャップリン”なのかと、目も心も開かれた。『チャップリン自伝』も読んだし、のちに、ドキュメンタリー「放浪紳士チャーリー」まで観て、直後の彼の訃報に泣いた。
放浪する事を運命付けられたような彼の人生を、一編の詩のように謳った作品が、この「街の灯」だと思う。
冒頭のギャグのために彫像まで造ってしまうほど、徹頭徹尾、総てがチャップリンの掌の上という映画だが、登場する全てのキャストの好演がなければ、永遠に感動を与え続ける作品には成らなかっただろう。それを引き出すために、まさに全身全霊を傾けたチャップリン。彼の映画に触れる度、その情熱がどこから来たのかを考え続けている。
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