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街の灯のKUBOのレビュー・感想・評価

街の灯(1931年製作の映画)
5.0
チャップリンは、かつて母に連れられて、おそらく最後の映画館でのリバイバルで見た懐かしい思い出がある。

私は『モダンタイムズ』『街の灯』『ライムライト』がチャップリンのベスト3だと思ってるけど、本作はその1つ。

1930年代、世界大恐慌の時代。現代と同じく街には労働者階級の貧困層が溢れ、貧富の差が拡大していた時代。

チャップリンは街の清掃をしてギリギリの生活を強いられている弱者の代表。おなじみの山高帽にステッキの風態は、カトちゃんケンちゃんのひげダンスの元になってるのはご存知の通り。

そのチャップリンが出会うのが、美しい盲目の花売り娘。なんとかこの娘を幸せにしたいとチャップリンが奮闘する姿が物語のメインになるのだが、

大いに笑わせてくれるのは、そのあいだあいだに差し込まれてくる酔っぱらった大金持ちとのくだり。

やってることはくっだらない。でも、そのくっだらないことを、言葉なしにその身体の動きだけで笑わせるチャップリンの技は、ドリフターズをはじめ全てのコメディアンに影響を与えている。

最近の映画はほとんど台詞で埋め尽くされているものも多いが、サイレントでここまで笑わせてくれるんだなぁ。やっぱりチャップリンは偉大!

そして、たっぷり笑った後で、とってもロマンチックなラスト! このギャップが違和感なく共存できてるところが、監督としてのチャップリンの偉大さ!

監督、主演、音楽、全てひとりでこなしちゃう、天才チャールズ・チャップリンの傑作! 今見ても絶対笑えるし、未見の若い映画ファンに特にオススメ!
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