ホラー/スリラー映画だと思って鑑賞しちゃいけなかった。これは完全にドラマ。異物を呑み込む(スワロウ)の理由が狂ってるからとかサイコパスだからとかを期待してたからなー。
居心地の悪いディナーで、気を紛らわそうと衝動的に氷をガリガリ食べた時に覚えた快感。それをきっかけに孤独や不安を感じた時にガラス玉、画鋲、土を呑み込んでは、平常心を取り戻す、一種の自傷行為を始める。
でも、この映画の怖いところはハンターの行為じゃなくて、旦那と義父母。「あなたは幸せ？それとも幸せを装っているの？」なんて義母から聞かれたくないわ。誰だって少なからず幸せを装いながら生きていると思うけど、ハンターは桁違いに壮絶な生い立ちを持ってるわけで、理解が追いつかない。しかもそれも宗教的な理由ってところがアメリカの社会問題を描いているね。「過剰に干渉する親」「カトリックと中絶」「移民」「プライバシー」ホラー映画を観にきたつもりがとんでもない社会派映画だったものだから、考えさせられることばかりだった。苦悩を自傷行為で取り払うのは簡単なのかもしれない。でも悪循環でしかないからいつかは克服しなくちゃならないんだろうな。
ちなみにハンターの自傷行為は、異食症(pica)に近いっぽいけど、土には大量の大腸菌が含まれてるらしいから安易に食べると死ぬほど痛い胃腸炎になるやつじゃん。そもそも画鋲のほうがアウトだと思うんだけど、テレビ見ながらボリボリ土食べるハンターはシュールで笑った。
