水野統彰

Swallow/スワロウの水野統彰のネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

心理描写は分かりやすい。対称関係が見えればこの物語はシンプルな構成。
心理的愛情と社会的愛情
自身の内面と外面
個人的自由と社会的自由
タブーと社会的道徳

対称関係が見えれば単なるエグいのみの映画にはならない。

富豪と結婚したハンターが広い豪邸とは対象的に、行き場のない束縛感(?)と孤独によって異食症を引き起こし、ビー玉や電池、画鋲を飲み込み命を危険にさらしていく。
「夫のために尽くす妻としての役割」「富豪の妻であるという評価に耐える役割」「自分を理解してもらえない孤独感」これらをして窮屈な日常な対して見出した1つの方法が異物を飲み込む、という新しい体験だった。

別荘は自然に囲まれていてお金にも困らない。一見裕福で不自由のない生活だが、自分の意志でなにかをするという自由はない。
異物に興味が湧いたというより、あらゆる行動が呪縛的に夫やその家族のためであったために、自分の意志で何かタブーに触れる手段の1つとして消去法的にたどり着いたのが異物を飲み込むという手段だったのではないか。つまり、それ以外に何か見当たらなかった。

この映画の最大のキーワードは「子」
ハンターはもともと母がレイプされたことによって生まれた子。
そしてハンターは夫との間に赤子を身籠るも、その赤子は将来の会社を存続させるための子。

ハンターは愛情の間に生まれた子ではなく、これから生まれてくる子も愛情の結晶として生まれる子ではない。

脱走後、母の元へ帰ろうとするも、そこには妹の子を優先させる母。

愛情の所在を求めたものの裏切られたと感じたハンター。

同じく脱走後、新たに家庭を築いていたレイプ犯のもとを訪れ、彼は改心し愛妻との間に生まれた別の子を育てていた。
自分以外の、純粋な愛情によって生まれた子の姿を見つける。
水野統彰

水野統彰