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ピーター・パン&ウェンディのmiumiuのレビュー・感想・評価

4.3
ジュード・ロウが悪役フック船長を演じるということで楽しみにしていたディズニー実写版ピーター・パン。
デヴィッド・ロウリー監督作ということもあり、完成を楽しみに待っていた作品。配信開始日にさっそく鑑賞した。

家を出て寄宿学校に入る日が迫り、大人になることに抵抗を感じている少女ウェンディが、ピーター・パンや妖精ティンカーベルにいざなわれ、弟たちとともにネバーランドで冒険を繰り広げるファンタジー。
タイトルに名前が入っているだけあって、ストーリーテラーかつ主人公にあたるのはウェンディという印象。
演じるエヴァー・アンダーソン(ポール・W・S・アンダーソン監督とミラ・ジョヴォビッチの娘)がとっても可愛い。
ウェンディのフライングシーンも多くて、ピーター・パンに助けられるヒロインではなく、子供と大人の狭間で悩みながら自ら戦う主人公、という感じで良かった。

ネバーランドに向かうフライングシーンや自然のロケーションをそのまま活かしたネバーランドの映像は、デヴィッド・ロウリー監督の『グリーン・ナイト』を思い出した。幻想的なのにリアリティがあって好き。
主人公がウェンディなのと、今の時代に合わせたのか、ロストボーイズに女の子もいて人種が多様なのも私は好きだった。

一方でピーター・パンは、子供の自由さよりは「浅はかさ」や、大人になることを拒んだゆえの「愚かさ」「成長のなさ」を象徴するような人物造形で、主人公として見るには弱い&もう大人の自分から見るとあまり好感を持てないキャラクターだったのがちょっと残念。(演じているアレクサンダー・モロニー君は可愛い。)

ピーターと宿敵フック船長との関係性を新解釈で描いているのが今作の見どころのひとつ。
この部分はフック船長が敵にならざるを得なかった背景がとっても切なくて、ジュード・ロウのキャスティングに納得。(と言うか、ウェンディと並ぶもう1人の主人公はフック船長なんだろうな、な存在感。)
恐ろしさと哀しさを備えた役を名演技で演じていてとっても良かった。コミカルな展開のときの演技も好き。
海賊ならではの剣を用いたアクションも見応えあり。
フック船長の設定や最終決戦の展開にはめちゃめちゃ泣いたよ……
(ジュード・ロウの演技を見たくてリピートして、2回めはさらに号泣)

子どもでも家族いっしょでも観られる安心設計の冒険ファンタジーながら、テーマは大人向けだと感じた。
デヴィッド・ロウリー監督の作品、やっぱりちょっと捻りがあって一筋縄ではいかない感じが好き。
出来れば映画館の大スクリーンでも観たかったなあ。
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