かずシネマ

愛について書くのかずシネマのレビュー・感想・評価

愛について書く(2019年製作の映画)
3.6
もう直開催される大阪アジアン映画祭。
こちらは前回の同映画祭のABCテレビ賞受賞作。映画祭のPRも兼ねたABCテレビでの放送で鑑賞。

「愛する事と愛される事、どっちを選ぶ?」
「愛すること」
…愛されるよりも愛したいマジでってマジなんやなって。(??)

恋愛だけのものではない、もう一歩踏み込んだ「愛について」描かれている。
タイトルと内容がとても合っていた。
じんわりと広がって行く後味も含めて良い作品だった。
ナチュラルに英語とタガログ語が混ざってるのも良いなぁ。

ひと月の間に脚本の手直しをしなくてはならなくなった作者の女性と、手直しを手伝う事になった脚本家の男性。
短い期間で、ただの恋愛ものの脚本から、もっと大きな括りの人間関係や愛情の描写を入れなければならない。

女性の方はまだとても若く、脚本家としてはアマチュアかセミプロ。お母さんの家業を手伝うのが本業の様だ。
そして恋愛ストーリーの脚本を書いたけど、彼女自身は奥手で恋愛経験には乏しいという。
男性はある程度のベテランの作家。でも彼もまだ31歳らしい。
その脚本家の男女と、脚本内容をイメージ化したもの(この場合は劇中劇と言っていいのやろか…)とが、どちらもメインで描写される。

1度こうだとイメージしたものでも、脚本家側が「違う、こうした方が良い」と考え直したら、そのイメージの中(劇中劇)でも展開が修正される描写が良かった。
それを見つめる様に立つ脚本家2人も。

あーでもない、こーでもないと、2人が共作していく様子が平和なのも良い。
そして2人がそれぞれに抱えているものも徐々に描写されて行く。
これがありがちな展開になってしまったら多分、2人は最初は反発し合って段々とに恋愛関係になる、脚本もそれに連動する…ってものになっていたと思う。

脚本家2人が飲食をしながら自分自身のそれまでの恋愛について語る様子が良かったな。
特に彼女の自宅でのそれが良かった。
探りを入れる彼女が可愛いし、お母さん達のあの感じにもンフフwとなる。

彼女とお母さんの会話も良かったな。
お母さんの言う通り、説明できない事ってあるよね。
お父さんとのシーンも良かった。

2人はある場所を目指して少しばかりの旅に出るが、その時のセリフも景観も素晴らしかった。
田舎町と山の上から朝日の昇った景色のドローンでの空撮も良い。

途中、劇中劇で脚本の中の主人公の女性の演奏歌唱シーンが何度かあって、その時の曲がとても綺麗だった。

全然関係ないけど、フィリピンでもアニメーターは超過労働に低賃金なんやね…とw


脚本家の男性を演じていた方はトニー・レオン系の顔だった。
女性は眉が自然で、顔もふっくらとしていて、その見た目でもう若さが出てる。おぼこい。可愛らしい。
劇中劇の女性は角度にもよってたまに二階堂ふみに似た系統の顔に見えた。
男性はロッテ井口監督の系統の顔。
フィリピンの方々は濃いも薄いも色々な系統の顔があって(書き方が適切か分からないが)面白いと思った。
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