高田ティガ

スカイ・クロラ The Sky Crawlersの高田ティガのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

永遠の17歳なので、三度の飯より鬱アニメが好きです。笑

ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』、ニーチェの永劫回帰ネタが浮かぶ。


いやはや救いがない。

永遠の思春期を生きるキルドレ=「ゲンダイノワカモノ」という構図なのだが、結局、この映画で、反抗期特有の閉塞感とシニシズムが批判的に乗り越えられることはなかった。

この作品において提出された解決方法は「死ぬ」か「殺す」かである。そして、それがなにも解決していないことは、函南の次のキルドレがやってきて、また同じ輪廻が続くであろうことから明らかだ。

胸糞バッドエンドも、ここまで突き抜ければ清々しい。永遠の思春期キルドレ……、甘美で堕落した魅力がある。

希望とか救いまではいかないけれど、この胸糞鬱エンドからなにかが変わるとすれば、それはこの後「草薙水素」がどう動くかにかかっているだろう。

草薙は、この映画のトリックスターである。函南たちと違って、「大人のおとこ」たちのルールの外に出ようとする存在だ。子供を産むし、ティーチャーから生還する。キルドレたちが輪廻の中で生き続けるのに対して、草薙はそのような生を拒否している。

「きみは生きろ、なにかを変えるまで。」
すなわち、《生きるという抵抗》。これは文字通り、函南にはできなかったことである。。草薙水素のその後は、「わたしたちオーディエンス」にそっくり委ねられている。