みおこし

ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明けのみおこしのレビュー・感想・評価

3.7
1951~1977年にニューヨーク州の田舎で開かれていた障害を持った若者を対象としたキャンプ「Camp Jened(ジェネドキャンプ)」のこと、そしてそれ以降に起きたリハビリテーション法第504条の施行を求める抗議運動のことを描いたドキュメンタリー。オバマ前大統領夫妻もプロデュースに関わっているのだとか。

現代においてももちろん障害を持つ人々による、誰にとっても住みやすい社会を求めての奮闘は続いているわけですが、今の社会があるのは約45年前に立ち上がった人々の存在があってこそ。
障害のある人々にとって"普通に生きる"ための権利を獲得するために、アクションを起こしたのもまた彼らだったという事実にただただ心震わされました。

かつてヒッピーの若者たちが主催したことから始まったこのサマーキャンプ。日常において障害があることを理由に普通の扱いをしてもらえないことが多い中、このサマーキャンプに参加しているときは障害の有無を忘れ、"ごく普通のティーンエイジャー"になれる...。そんな彼らにとってのユートピアでの当時の映像もたくさん流れるのですが、心から仲間とのひと時を楽しみ、時にヤンチャな行動(一夏のランデブー...!笑)にも走る彼らの笑顔は輝きに溢れていました。この時の経験があったからこそ、改めて本当の意味での自分たちの自由に気付かされた若者たちが、社会における正しい人権を求め、504条施行に向けて運動を開始した、という経緯にも納得。
通称"504シットイン"と呼ばれるこの抗議活動は約24日間に渡りました。サマーキャンプの参加者であり、このシットインにも積極的に参加した張本人であるジュディス・ヒューマンやジェイムズ・レブレヒトなどのインタビューも取り上げながら、彼らだからこそなし得ることができた障害のある人々のための新たなアクセシビリティや保障のあらましを読み解いていく、本当に重厚なドキュメンタリー。
映画やドキュメンタリーを通して、黒人の公民権運動や女性のウーマンリブ運動など、さまざまな歴史的偉業がフォーカスされる今日この頃ですが、また新たな勇者たちの活躍についても本作をきっかけに知ることができて良かったです。
アカデミー賞のドキュメンタリーのカテゴリにノミネートされていますが、受賞に期待がかかるばかり!!
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