たむ

ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明けのたむのレビュー・感想・評価

4.2
障害者の公民権運動を描いたドキュメンタリーです。
障害者に当たり前の権利がない、というところからそれを勝ち取っていくための人間の力強さに勇気が奮い立つような素晴らしい作品です。

大きく分けると3部構成になっており、公民権運動の中心人物となるジュディスらが参加していたキャンプで青春を記録したものが第一部。
「私はジュディスではなく、病気の子だと思われていた」と個人として認識されていなかったショックを語るシーンが、映画全体を通して核となる部分です。
キャンプがヒッピー文化で青春を謳歌するなかなか過激な話も出てきますが、このキャンプで彼女たちの考えが大きく変わったことが重要です。

第二部は公民権運動を実際に行い、ハンガーストライキなどをしていく過程が描かれます。
障害がある中での抗議は過酷ですが、衝撃なのは、障害者を集めた病院の不衛生さの記録。
抗議の輪が広がっていきます。

第3部はエピローグですので、ぜひ映画を観てほしいです。

アメリカ大統領をめぐる話で面白いのが財政問題で障害支援を打ち切ろうとしていたのが、ニクソンとレーガンというアメリカ大統領の二代悪役がしっかり悪いところです。
何故かパパブッシュがいいところをさらっていくので、共和党には公平な作品です。

この映画を観て感じるのは、人間が権利を獲得するために団結し、抗議をして、正当な権利を獲得する、その力強さです。
辛い描写もありますが、間違っていることは間違っていて、正しいことを正しいと言える平和な世界を描き出そうとする映画ですね。
たむ

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