日下勉

滑走路の日下勉のレビュー・感想・評価

滑走路(2020年製作の映画)
4.0
3つの物語が交互に語られて、はじめは戸惑うけど、それぞれが「過去」「現在」「未来」の物語で、それぞれが関連しあっていることが次第にわかる辺りから、ずっと引き込まれるように観た。
希望と絶望、後悔との絶妙なバランスで、なかなかに深い余韻を残す観賞後感の映画でした。
この映画の原案となった歌集「滑走路」の作者、萩原慎一郎さんは中学高校といじめに会い、そのトラウマに苦しみ大学卒業後非正規雇用として働き若干32歳で自死された。そんな彼の人生を照射するような、苦く美しい映画でした。

「きみのため用意されたる滑走路きみは翼を手にすればいい」

エンドロールの最後に出る彼の詠んだ歌が沁みます。
日下勉

日下勉