むる

劇場版 きのう何食べた?のむるのネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞後とても優しい満足感でいっぱいになる作品だった。
同じギャグで最初と最後をきめるのも、ところどころについ笑ってしまうような面白い会話や表情を挟んでくるのも、優しい物語も、心に残るそれぞれのセリフもすごく良かった。

シロさんが「いいじゃないか、二人で」って言った時、家族ではなくけんじを選ぶのは確かに愛だと思ったし、けんじにとってはシロさんのこの言葉はこの時間違いなく彼の救いになったと思うのだけど、彼らが築いてきた周りの人を含めた二人の関係性を考えると、本当にそれで良いの? この二人が? って思ってしまって、このまま終わるのかなあと思っていたら、最後「これからもいっぱいご両親を大切にしてね」「おれたちは二人だけで生活してるわけじゃないから」ってところに二人が至って(多分二人はもともとこの考えだから至って、という表現は語弊があるけど)本当に本当に感動した。

あと、ジルベールが「孫の何がそんなに嬉しいんだよ」って話をしたとき、かよこさんがそんなジルベールを腫れ物のように暑かったりせず、ばしっと叩くことで彼の気を緩めたり、そのあと食卓でけんじが「人が嬉しそうだと嬉しいじゃない」って言ってて、正直ジルベールの気持ちがわかる自分としては、けんじの考えにとても救われた。その事実の喜びとか嬉しさはわからないけど、ただその人が嬉しがっていることを自分も嬉しがればいいんだと思った

フィクションだけど、しあわせばかりのファンタジーで済ませない、現実の厳しさや辛さも踏まえた上で、いろんな立場の人間の優しさを描いてくれる、本当に素敵な映画だと思った
また観たい
むる

むる