もとまち

Blood Rage(原題)のもとまちのレビュー・感想・評価

Blood Rage(原題)(1987年製作の映画)
4.2
やべーめっちゃ面白い。軽薄なスラッシャーでありながら隅々まで手の込んだ演出に痺れまくり。斧でカチ割られた顔面を誤魔化さずにハッキリ捉える冒頭からして、本作がいかに信用に足る映画なのかがよく分かる。切り落とされた手の指がピクピク動いたり、頭がパックリ割れて脳味噌が見えてしまったり、必ず新鮮なワンアイデアを足してくるゴアシーンが本当に素晴らしい。ラングの『スカーレット・ストリート』みたくフレーズを反復するレコードや、心霊映画のようにヌーッと現れる殺人鬼など、しれっと不穏な恐怖表現も巧い。陽キャな兄貴(実はサイコキラー)と陰キャな弟(兄貴の罪を被って精神病院行き)という双子の設定もユニークで、マーク・ソーパーの演技が凄すぎて途中まで一人二役なのに気づかなかった。爽やかな笑顔を振り撒いて、おどけながら殺戮を繰り広げる様は恐怖とユーモアが渾然一体! 全編に渡ってハイテンションに鳴り響く80’sシンセサウンドも最高。諸々の完成度が高すぎるせいで、逆に珍しいタイプのスラッシャーだと思った。
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