映画にとって「場」がどのような佇まいであるかは、とても大事だ。

この映画は場に始まり場に終わる。

決して大きくはないカフェの店内に、５人の女性スタッフがひしめき合う。
ある種のせわしなさがある。

それがとてもいい。

開けた路面に構えた小さなカフェ。
その中で、５人がパタパタと働いている様は、アリの巣の中ようにも見える。

強い個性はない。
とにかく５人のスタッフなのである。
５人が小さく個を紡ぎ合わせて、場を作っている。

場が出来上がればあとは人が来ればいい。
誰が来るかはさほど問題ではない。
どんな人が訪れても物語になる。

別れた恋人でも、上司部下でも、兄弟でも、幼馴染でも。もしくは、全くの他人同士だって。