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PIG ピッグの708のネタバレレビュー・内容・結末

PIG ピッグ(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人里離れた山の中に住む男ロブ(ニコラス・ケイジ)がトリュフ採りの豚を誘拐され、その豚を取り戻そうとする話なんだけど、リベンジ・スリラーと謳われていたことやニコラス・ケイジの風貌で、豚を取り戻すためにかなりヴァイオレンスな展開を繰り広げるんじゃないかと勝手に想像していました。でも、ヴァイオレンスはほぼなし。犯人を居所を突き止める過程で、教えてもらう代償としてロブが殴られるくらい。

結局犯人を突き止めたところ、黒幕はかつてのロブの部下で実業家のダリウス。実はロブは伝説的な料理人だったものの、妻が亡くなったことがショックで山の中に籠ってしまい、トリュフハンターとしてひっそりと生活。ダリウスの息子アミールが、そんなロブからトリュフを仕入れていることが気に食わなくて、豚を誘拐させたのでした。

ロブはダリウスの家に乗り込んで、今は自殺未遂で植物人間となっているダリウスの妻とダリウスが食べた思い出の料理をつくって食べさせて、精神的なダメージを与えて復讐するロブ。泣き崩れるダリウス。こんなにも静かに的確に、相手にダメージを与える復讐劇は観たことがありません。

妻が亡くなった後、ロブにとって豚は単なるビジネスの道具というよりも、精神的な部分を支える相棒のような存在だったんだろうなと思うんです。そんな大切な豚が殺されてしまったことは悲しいけど、豚を探し出す過程で、過去の自分と向き合って妻の死を受け入れられたことは救いだなと思いました。
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