Machiko

君が世界のはじまりのMachikoのレビュー・感想・評価

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)
5.0
脆い糸一本でなんとか正気を保ってる日常。「気が狂いそう」からそのまま転落するのはきっと、一瞬。そんな彼らに寄り添うのは、ブルーハーツ。狂気に落ちた者に彼らは、同情するでも嫌悪するでもなく、ただ「ガンバレ」とエールを送る。こんなの、好きになるしかないじゃないか。愛するしかないじゃないか!

なんかもうね、ボロボロ泣きました。これは映画館で観たかった(何故見逃したのだろう?)。何事もなくヘラヘラ日常を送ってても、心の奥でふと狂気が鎌首をもたげる瞬間って、私にもある。だけどそんな時、ブルーハーツが居てくれるから、そしてなにより、感情をぶつけ合って最後は笑い合える仲間が居てくれるから……。心に響く大傑作だった。

まあ、「ブルーハーツ使うのはズルいわ」とも思うけどね。どんな出来の悪い映画でも(本作は出来良いですよ、念の為)、ブルーハーツ流されたらそれだけでなんかOKになっちゃうから。でもその点、本作はブルーハーツを「使って」はいるけど、「頼って」はいないんだよね。ちゃんと必然性があるし、映画と音楽が共鳴してる。「人にやさしく」は多分何百回何千回と聴いてるけど、本作で聴いて、あらためて歌詞が心に入ってきた感覚もあって。いやもう、良かった。大好き。

役者さんもそれぞれ良かったなー。特に松本穂香さん、「his」や「わたしは光をにぎっている」でもナチュラルかつ繊細な演技で自然な存在感を放っていたけど、本作で彼女の素晴らしさに完全に魅了された。「みをつくし料理帖」も見逃したのでレンタルで観たい! 過去作も追いかける!
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