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リンダ リンダ リンダのmのレビュー・感想・評価

リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)
4.8
懐かしきゼロ年代邦画の空気感。あの頃の山下さん映画の立ち位置が、今の日本映画界における今泉さん映画の立ち位置って感じかな。

韓国からの留学生がブルーハーツのカバーバンドのボーカルをやるというプロットのキャッチャーさよりも高校生たちの空気感の良さが勝っているのが今見ても良いんだけど(『女子高生』という日本的テンプレートから完全に自由なのが良い)、何よりこれを演じるのがペ・ドゥナであるというのが強すぎる。ペ・ドゥナを引っ張ってこれた時点で勝ちなのに加えて山下映画と女子達の相性の良さの意外性。キャスティング・監督チョイスひっくるめて凄い企画力。

時代を経ても、タイトル後の歩く前田亜希の長回し並走ショットによる設定説明のダイナミックさ・深夜誰もいない体育館でのメンバー紹介の情感・終わりゆくライブ中の誰もいない校舎の点描のそれまでのバンド映画に無かった余韻(最近「ぼっち・ざ・ろっく!」が同じ事やってたね)は今も色褪せていない映画的な良い瞬間。まだ新人時代の松山ケンイチが韓国語でペ・ドゥナに告るシーンは今見ても笑えるし良いシーン。

バンドメンバー4人のキャスティングが絶妙にハマっているのも改めて実感した(ベースに役者ではなく実際にバンドやってるベボベの関根さん配役したの見事な采配)。メイン4人の内、今もバリバリやれてるのがペ・ドゥナだけという所に寂しさを感じる、という以上に日本芸能界の構造の問題があると思う(いやベボベは今も現役ですが)。
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