ふくろう

ホテルローヤルのふくろうのレビュー・感想・評価

ホテルローヤル(2020年製作の映画)
3.5
時間の表現が巧みすぎてどう褒めて良いのかわからない。
連作短編の原作は現在から過去に向かって30年間が描写されていて、次の話を読むたびに独立してるようでリンクしている不思議な感覚を齎してくれるんだけど、
映画ではちゃんと一本筋の通った話に再構成されてて、理解しやすいというか、音楽とか光の加減ですごい自然に五年十年ぽんと飛ばして繋いでいく感じが凄い。ちょうどプラダを着た悪魔でアンハサウェイが道を渡る合間にどんどん衣装が洗練されていくことで時間の流れを表現していくみたいなそんなのの連続で、
ちゃんと〝映画〟になっていた。原作のエピソードを上手く作り替えてはいるけどちゃんとなぞるから本当にいろんなことが起きるんだけど、それでもごちゃごちゃしないし、情報量の割に台詞もそんなに多くない。なんか騙されているような感覚すらある。
時間の流れは変えてるんだけど、原作の現在から過去へって感じはちゃんと表現されてるし、僕は映画の方が好きかもしれない