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サンダーロードのnararaのレビュー・感想・評価

サンダーロード(2018年製作の映画)
3.3
主人公ジムは感情の激しい乱高下(特に哀怒)、親として警官としての道徳感、思ったことへの反射的な行動。この3つが絶妙に重なった結果、世間とのズレに揉み合い日々格闘している。
 そんな彼の理解者であった母親の葬儀のシーンから物語は始まる。母親への愛と恩を感じている主人公は葬儀で母親の人生を象徴する歌で踊らざるをえなかった、彼の性格上踊るしかなかった。そういう意味で味わい深いシーンである。
 物語を通して主人公の行動と反応、周囲との関わりがオフビートの笑いを誘いつつ、段々と不器用な主人公にもの悲しさを感じるようになってくる。深い感動はないが、中年のもの悲しく地味な「サンダーロード」がじわりと響く。
 実際にはブルーススプリングスティーンの歌詞のように誰かが連れ去ってくれるわけでもなく、現状からキレイに逃げきれるわけでもない。ひつこくまとわりつく変えたくても変えられない自分の性格、環境、それらを引きずりながら重い足取りで前に進むのがリアルな「サンダーロード」
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