シカク

マグノリアのシカクのレビュー・感想・評価

マグノリア(1999年製作の映画)
4.5
これが三度目の鑑賞、率直な感想として一度目より二度目、二度目より三度目とこの映画が纏っている奇跡的に絶妙な空気感が濃度を増して胸一杯に満たされる。今まで見た映画の中でもめちゃくちゃ好きな映画。
 
エイミー・マンの楽曲を基に制作された本作。
後半の歌詞とばちばちにリンクする演出等、音楽そのものと音の使い方が軸になっている。 
けれど、最初これ見た時にも思ったが音に頼らない台詞だけのシーンも際立っていて、
改めて群像劇に於けるキャラクター造形の妙とそれを表現する俳優陣の演技力の高さや各々の役へのはまり具合に感心させられた。

「過去を捨てたと思っても過去は迫ってくる」
群像劇ではあるが、クローディアとジムの物語がクローズアップされシークエンスのわかりやすいガイドラインになっいる。最後の二人の締めくくりも、その他の人物のその後を気にならせながらも悲劇的な状況でも陽に照らされる時は来て、身に降りかかる悪い偶然や自らが引き起こした過ちも許しや懺悔によって全てが解決するわけではないけれど、精神面で諸問題に対する区切りや整理を促し、一瞬でもそれらを脇に置いて目線をずらし、良い偶然も必ずある訳で自分が信じる行動を積極的に取る事によって時には報われることあり、全てが少しずつ好転し、今まで囚われ続けてきた過去の傷にも平静を保てるのではないか。
最後にジムが言っていた「だが許しは可能だ 難しい判断だ 何を許すべきか 判断が難しい 人間として悩む問題だ」は、
汚い言葉を使うクローディアがラップ少年の時の伏線でそれにも赦しの基準があることを示唆し、人生に突如現れた愛すべき人を許すことにより自分も許される構図があまりにも美しかった。
劇中もし映画なら信じられないという台詞があるが現実世界にも通じる気づきや教訓が敷き詰められており、多分また見返しこれらの事を人生に役立てたい。
シカク

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