孤独屋

恋する寄生虫の孤独屋のネタバレレビュー・内容・結末

恋する寄生虫(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

その作品は設定が秀逸だと思った。
恋というのは人に寄生する寄生虫に操られている為、全ては寄生虫によってもたらされた幻想に過ぎない。そう知っていながらも惹かれあっていってしまう2人。
その虫を摘出すれば、恋をしていた気持ちは消え去ってしまう。それを拒否した2人は共に逃げ自殺を図ろうとするが助かってしまい、意識が戻る前に寄生虫を摘出されてしまうが、自殺直前な交わしたキスによりお互いの寄生虫同士が生殖し、卵をお互いの脳に残してしまう。それにより2人は摘出後も摘出前の気持ちと変わらず再開するというハッピーエンド。
正直、設定や展開はおもしろかったがエンディングが勿体なかった。誰もが夢見るハッピーエンドで終幕。糞食らえだ。
この手のものは誰もが予想だにしないバッドエンドで心が抉られ、数時間は人間に戻ってこれなくすると90年代から決まっている。だからもう一度言う。こんなハッピーエンドは糞食らえだ。
そしてこの作品からは所々にデヴィット・フィンチャー監督の名作「ファイトクラブ」を連想させるシーンがあった。作品が始まった時の林遺都演じる高坂賢吾が自宅の部屋の窓から街が爆発しているのを眺めるシーンや、小松菜奈演じる佐藤ひじりの視線恐怖症によりパニックに陥ったシーンのガードレール下にいた人間達の目元のメイク。もしかしたら柿本監督はファイトクラブの大ファンなのかもしれない。ならば余計にチープで月並みなエンディングには納得がいかない。
最後にもし、本当に脳に寄生虫がおり、そいつらのせいで不安などを感じるのなら今すぐ摘出したい。そうすれば僕の病気も治ると思う。
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