Omizu

Volver a empezar(原題)のOmizuのレビュー・感想・評価

Volver a empezar(原題)(1982年製作の映画)
2.5
【第55回アカデミー賞 外国語映画賞受賞】
アカデミー外国語映画賞を受賞したのに日本で未公開のスペイン映画。モントリオール映画祭でエキュメニカル審査員賞を受賞したものの、国内でも国外でも「不機嫌で空虚」と酷評された。

うん、日本公開されないのも分かる。駄作ではないけど凡作。悪くはないけど良くもない。主演のアントニオ・フェランディス、相手役のエンカーナ・パソの演技はよかった。

アメリカ在住の作家が故郷のスペインへ帰り、旧友や昔の彼女と会う。その最中にノーベル賞受賞の知らせが届くが、彼はある秘密を抱えていた。

アカデミー賞に受けた理由は①主役がアメリカ在住の老人②誰もが知っているクラシックがテーマ曲という二つの要素だろうな。当時のアカデミー会員は高齢化が進み、「終活」がテーマだとよくウケる傾向にあった。『これからの人生』(1977)『追想のかなた』(1986)『海を飛ぶ夢』(2004)『おくりびと』(2008)などがこのパターン。

外国語映画賞というフィルターなしに言ってもお世辞にもいい出来とは言いがたい。短いのに無駄なシーンが多く、音楽の使い方も一辺倒でうるさい。あってないような展開が退屈。

特にホテルの支配人をやけに長く描写しているのが気になる。本筋には何の関係もないのに。短い尺でそんな使うのはもったいなさすぎる。これだけ細かく描いていると言うことは、終盤に何かしらの展開があるのかと思いきや何もない。

最初はカノンの使い方面白いな、と思っていたが、その後も何度も何度も使い回されるのでうるさくなってくる。ここで?と感じる場面も多々。

肝心の旧友、昔の彼女との再会も薄味。会話は面白いところもあったが、懐かしいなと語り合って終わりと何一つ興味を惹く展開がない。

演出はまあいいし、会話も気の利いたところはあった。主演二人の演技はよかった。ただアカデミー賞とるほどではないわな。『フィツカラルド』『路』がノミネートもされずにこれがとるのか…駄作とは言い切れない分なんだかもやもやする。
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