ヴァンサン・カッセル主演のオーストラリアのインディーズ映画。
(って何だ!?この歪で不思議な組み合わせは…)

ヴァンサンは、虐げられた女性とその子どもを保護し、外界と遮断されたユートピアを作り上げて、子どもたちに教育＆訓練を行って殺し屋として育てているんだけども、、、そこで育った主人公少年が、次第に自分がやっていることに疑問を持ち始めてヴァンサンへの反抗心が芽生え、より広い外の世界を知ってみたいと思うようになる……というちょっと変わったcoming of age映画。

予告編を見たときは大好きな韓国映画『ファイ』や『キック・アス』や『アニマル・キングダム』的なのを期待したんだけども、見てみると『進撃の巨人』をミニマムにして巨人要素を抜いたような世界観(!?)に近いかな…なんて思いました。

(監督はコロンビアのゲリラ組織の子ども兵の実話から本作のヒントを得たらしい…)

現実世界のようで非現実な廃墟感漂う風景とかセットが素晴らしい(タルコフスキー世界に通じる雰囲気！)のと、コミューンを支配するヴァンサンに善悪両方の側面を持たせているのが良き！
例えば、ヴァンサンが片手に包帯(＝平和)、反対の手にハサミ(＝暴力)を持っているカットを映すように、全編通して言葉よりも絵で表現しようとする姿勢にも好感が持てる。

どうしても曖昧な部分が多すぎて真実がわからない点もあるんだけれども、それも徹底的に少年の目から見た世界を描いているせいだから仕方ない。
(直接的な描写が少なくて、もどかしいっちゃもどかしいけど…)
(少年が暗殺するターゲットがもっとバリエーションに富んでいる方がいいような…)

少年の中で価値観が揺らぎ始めるきっかけとなる展開がチープな気もしなくもないし、欲を言えばヴァンサンと少年の父息子関係の揺らぎだけでなく、例えば彼以外にも腕利きな殺し屋少年がいたりして、そことの友情葛藤展開があれば最高だったかも。
(暗殺描写に『ファイ』みたいな手に汗握るアクション感＆スリリングさが欲しかったな…)

(見応え十分なんだけど、、、恐らく日本未公開濃厚なのが惜しい…)