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カポネのJIZEのレビュー・感想・評価

カポネ(2020年製作の映画)
2.8
1940年代半ばのフロリダを舞台に実在した"暗黒街の顔役"と恐れられたギャング"アル・カポネ"の服役後の晩年の一期間が描かれる。まずジョシュ・トランク監督という人選が、最初に意外だった。つまり低予算かつSFの独創性を盛り込む『クロニクル(2013年)』や大コケしてしまった『ファンタスティック・フォー(2015年)』など手掛けたややSF畑出身の人選である。またアル・カポネ自体の怪物感をそこまで熟知せずに観たため、かれの正気と狂気が混在するたたずまいに振り落とされそうになる。服役後という時制軸ともあり全盛期とのギャップに題材との齟齬が感じなくもない。主演のトム・ハーディの熱演はいうに及ばず成り切っていて、アル・カポネの表情ひとつの繊細な部分まで手を伸ばしきっていた印象である。世界で最も悪名高きギャングとしての生き様が、心身ともにボロボロとなった梅毒や幻覚など末期症状の彼のおもむろな瞳をつうじて描き出されている。
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