青春映画の傑作。
コメディタッチ。
Netflix作品の中で評判になっているのは聞いてました。
アメリカの田舎町が舞台ですけれど、2020年代に生きる老若男女にささる普遍的テーマを扱ってます。
ウェルメイドの物語のようでありながら、
恋愛、友情、自己発見について深く楽しく考えさせる映画でした。
語り口もスマート。
スマホのありきの恋愛ゲームは、2020年代ならでは。
内向的な高校生女子エリーが主人公です。
エリーは町で唯一の中国人家庭の子。
高卒後の進路について悩むなか、アメフト部2軍のさえないポールから、ラブレターの代筆を頼まれます。
エリーは、クラスメートのレポートを代わりに書くことで、小金を稼いでいましたから。
ポールもその才覚を頼りにしようとしました。
(正直、このポンコツふうのポールが出てきた時点で観るのやめようと思いました。アスターが素敵なので、アスターに免じて少し我慢してみることに…)
初め断固断るエリーでしたが、督促されている電気料金にあてるため、しかたなくオファーを受けます。
ただ、アスターへの手紙は、エリーの気持ちを吐露するものでもありました。
実は、エリーも賢くて美しいアスターに惹かれていたのです。
エリーの手ほどきによって、ポールとアスターを親しくなっていきます。
エリーは、複雑な気持ちを抱きながらも、ポールとアスターの関係を応援します。
ところが、ポールは、献身的なエリーも大切に思うようなっていきました。
エリーの方も、おバカだけど純真で思いやりのあるポールを見直します。
〔発表会で、エリーのピンチにポールがギターを滑り投げるシーン、かっこよすぎ〕
というように、奇妙な三角関係が展開されていきます。
そして、アスターは、元々付き合っていたお金持ちイケメンから、教会でプロポーズされました。
このイケメンのトリッグも良いキャラクター。
教会で一堂に会して、お互いに本音をぶつけ合うシーンがクライマックスです(『ふぞろいな林檎たち』みたい)。
演出も素晴らしいのです。
ターニングポイントの看板や、道路の黄色ライン、自転車で登る坂道、工夫を凝らしたソーセージなど、意味深に使われています。
情報量多し。
あの名画のシーンがこことここに繋がるのかぁ。
愛に関する箴言の数々も、心に染みました。
異なるバックグラウンドを持つ人々が直面する困難も描かれてました。
例えば、美人で人気者のアスターもしんどい思いを抱えていたことが分かります。
エリーの父親の悲しみや、エリーの理解者である学校の先生の葛藤ももっと知りたかったです。
Netflix作品は、正直いまいちのれない時があります。
あらすじをみると苦手なやつかなと思いましたけれど、今作は大当たりでした。
満点にしなかったのは、映画館で観たらもっと感動が大きかったのではないかと思ったから。
さわやかなあのラストシーンは、映画的で本当に素敵でしたね。