うらぬす

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのうらぬすのレビュー・感想・評価

4.2
多少衒学的なきらいはあるものの、心地良いエスプリの効き具合。哲学や芸術からの引用の数々もそうだし、交わすメッセージも日本語訳の字幕じゃなくて英語の原文を読んでみるとすごく洗練されてて思わず唸ってしまう(World's asleep More room for thoughts なんてびっくりするほどスマートな言い回し)。
ひと捻りもふた捻りもあるこの手のロマンティック・コメディはもはやアメリカのお家芸、かなりの確率でクオリティが高いから安心して観られるけど、必ず定石から外れた要素が含まれているから飽くこともない。アジア系アメリカ人が主人公であることはもはやそんなに珍しくないとしても、ロマコメでありがちな「ヒロインをサポートする良き理解者のゲイ」とは逆に主人公自身がレズビアンである点とか。新奇性はそれだけで評価されて良いと思う。
丁寧に磨かれたダイヤモンドのように、色々な面が複雑に輝く稀有な映画だった。鑑賞後の今、無性にソーセージタコスが食べたい……