Iri17

銃2020のIri17のレビュー・感想・評価

銃2020(2020年製作の映画)
4.4
前作の銃が解放された暴力欲求のメタファーなら、今作の銃は女性の中のアニムスのメタファーであり、それはすなわち暴力性のメタファーとも繋がってくる部分だろう。

親、金で女性を買おうとする男、合法的に銃=暴力を所持する警官など、主人公を抑圧してきた権威に対する反逆の狼煙が銃である。女性として男性に立ち向かうのではなく、男性化して暴力の暴走によって権威を駆逐していくのである。

銃を拾った主人公が、暴力に魅せられ銃=男性性を自己内面化していくのが、銃をオモチャに使ったマスターベーションのシーン。主人公は権威を憎む一方、銃という権威を自らに取り込み同化していくのである。

ただそのような権威・暴力を使った反逆、復讐、暴走がどのような結果を生むかは映画のラストを見ての通りだ。

このような映画が小規模公開になる日本映画界の体たらくにイライラしつつ、この傑作をお勧めさせていただく。
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