このレビューはネタバレを含みます
自宅で。
2021年の邦画。
監督は長編初監督の四戸俊成と白井孝奈。
あらすじ
母親を亡くしてから、大好きだった走ることを避けるようになってしまった小学生のカンナはある日、母親の形見の髪留めに触れると、そこに神の使いだという、うさぎが現れ、韋駄天の末裔だった母親の代わりに八百万の神々が集う「神在月」の出雲まで全国の馳走を届けてほしいと頼まれる。そこでカンナはうさぎと道中知り合った鬼の末裔である夜叉と共に一路出雲に向かう。
Netflixにて。
大好きな映画監督兼スクリプト・ドクターである三宅隆太さんが脚本を担当していてちょっと気になっていたところNetflixで配信されていたのでようやく鑑賞。
初めてその存在を知った時、なんか「異世界もの」の「ファンタジー」なんかなぁくらいのイメージを持っていたけど、観てみるとファンタジーはファンタジーだけど今作の題材は「長距離走=マラソン」!!
要はあらすじで書いたように母親から受け継いだ「韋駄天」として、全国の神社に祀られている神様から「馳走」と呼ばれる神様の宴で出される料理を集めながら目的地「出雲」を目指すという一風変わった内容となっている。
ちなみに出雲では10月の別名である「神無月」を「神存月」と呼ぶことからこのタイトルがつけられているらしい。へぇ、神が住まう土地だからか。
で、その中で、大好きだった母親が病死してしまったことがきっかけで大好きだった「走る」ことをやめてしまった主人公のカンナが自身のアイデンティティを取り戻していくお話という王道の成長譚となっていくんだけど、そこに絡んでくるのが案内役のウサギのシロとカンナを邪魔する鬼一族の末裔の夜叉。ウサギはマスコットポジでありながら、イイ感じでカンナを応援しながら導くし、特に夜叉のバイキンマン的なポジでありながら、行動を共にしていく中で、それでも自らの出自の殻を脱却する流れなんかはなんともエモかった。
脇に坂本真綾と入野自由という実力派を置くことで主演の「朝が来た」や朝ドラでの活躍も目覚ましい若き新鋭、蒔田彩珠(「Pure Japanese」)との化学反応を際立たせるのにも一役買っていたと思う。
個人的に注目したいのはマラソンで各地、特に出雲付近を走行するので「ご当地」映画感というか「観光」的側面もあって、各地の神社の風景や海岸沿いの美しい風景なんかはなんか出雲って行ったことないですけど、いつか行ってみたいなぁなんてちょっと思うくらいの感慨はあった。
ただ、お話的にはかなり地味めなお話でつまらないわけじゃないけど、反面心に響くようなシーンだったり、感じはあんまりなかったかなぁ。
それこそカンナがみんなの想いを乗せて「自分の好きを信じる」と走りきるシーンなんかは、新海誠監督作みたいな終盤での盛り上がりを見せてくれても良かっただろうに、そこもあまり弱かったかなぁ。
ただ、こういう特徴的な設定にスポットを当てながら物語を展開していくお話は嫌いになれないのでまだ観てない人は三宅隆太監督を応援するためにも是非に!!