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TITANE/チタンのyokoのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.4
アレクシアは失読症の名前

あらすじの文章だと事故、手術で埋められたチタンの影響による性的嗜好の変化、増大するエキセントリックさの話に見えるが、事故前からエキセントリックであり父親もサジをなげているコミュニケーション不全である。なぜなら彼女はアレクシア(失読症の病名らしい)だから。彼女のエキセントリックさは父親の愛を受けない状態からくる不満の行動だろう。

イメージからは悪の法則よろしくキャメロンディアスみたいな女が、カーファックを繰り返しながら街から街へ流れていくみたいな映画を想像したが、そのようなシーンはあまりない。

ストーカーの殺害から
かくかくしかじかで追われる身になるが、警察の影は強くない。罪の話ではなく、愛の話だからだ。

消防署の隊長のなくなった息子にトランスフォーマーして振る舞うが、うまく誤魔化せているかは問題ではない。息子の振りをしてくれるかどうか、疑似家族として命をかけているかどうか。

隊長、消防署まわりはマッチョさホモソの象徴として使われていると思うが、いうてアメリカにででくるようなゴリゴリさでもなく、強烈なイジメがあるわけでもなく、パーティのシーンなんかでもなんかぬるく、ふとしたセクシーダンスに気圧されるくらいなので、「男にセクシーを感じそうなオレ気まずい」みたいな表情も。それを暴力で終わらせる感じでもなく。このフランス?の消防団レベルの中途半端さがまあ、彼女の対抗できるリアルさで絶妙。アメリカなら速攻詰められて終わりそう。

血が繋がっているかいないかは愛の強度と関係ないはマリグナントを思い出したし、息子と名乗る人物、ありえないけど信じるしかないApple TVのサーヴァントを思い出す。

たぶんおじさんに最初に喋った言葉が「愛してる」だよね。沈黙のフリが効いてて良い。
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