イマジンカイザー

トランスフォーマー/ビースト覚醒のイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

4.8
遡ること2007年。トランスフォーマーが実写化されると聞き、「遂にビーストウォーズが実写化されるのか!?」と(勝手に)喜び、いやいや、実写化されるのはもっともっと原典のはなし、と聞かされ「ぶえー」と(勝手に)毒づいて。
それから苦節17年。遂に、遂に、子供のころから思い入れ深いビーストたちが悲願の実写化。
もうそれだけで採点はかなり甘めになることが予想されたのですが、これがなかなか。地球外生命体と人類との友情モノとしても大変楽しく出来ておりました。

ここまで、人類とトランスフォーマー側が対等な立場で戦ったのは初めて見るかもしれない。お互い決して信頼の芽生えるような出会いじゃなかったけれど、互いが互いを知って尊重し、人類は異星の民の突拍子もない言葉のために奮闘するし、トランスフォーマー(オートボット)の側も彼らを守るために命懸けで戦ってくれる。
力では到底敵には敵わないけれど、元々あったスキルと勇気ひとつで悪党どもに立ち向かう人間。それに惚れ込み、利用する/されるの立場を捨てて大きな決断を下すオートボット。王道異種間バディーアクションがとっても面白い。

一回リブートを挟んだからか、コンボイ司令(オプティマス・プライム)が弱さと焦りを抱えてて、何かと辛く当たらざるを得ない描き方をされてるのは新鮮だったなと。無論それは表面的なものであり。少しずつ打ち解けてゆくごとに往年のキャラを取り戻していくのは笑いましたが。

殺陣やトランスフォームシーンなんかも、この手の作品にありがちなゴチャゴチャ感は少なめで、ロボットたちが主役なのだと言わんばかりに出番の多いオートボット勢の活躍にはにんまり。特に主人公の相棒ポジションたるミラージュは憎めないお調子者キャラですぐに好きになれました。


そして本題。17年の時を経て遂に実写に殴り込んだムチャゴリラことゴリラコンボイ(オプティマス・プライマル)。彼が子安さんの声で喋るだけでもう涙モノなのですが、ゴリラらしい思慮深さ、他の奴らが基本ヒトに疎まれている中にあり、村民たちとも仲良く暮らしていく度量の深さ。何より戦闘での荒々しいファイトには燃えましたとも。
こうなりゃエアラザーが「エアレイザー」なのも、ライノックスに声優が割り振られてないのも些細な問題。いやはや本当にたのしい。

今回はいの一番に吹き替えを鑑賞したのですが、ビースト陣営の声の老けなさには本当に驚くばかりで、見た目もだいぶ違うのに、子安さんが喋るだけで、「ああ、俺たちのコンボイが帰ってきた」と涙を浮かべてしまう始末。
細かいとこだと、かつてチータスを演ってくれた高木渉さんがチーター、を演じてくれたのも嬉しい。レギュレーションに抵抗しない範囲でかつてのイメージを残してくれたことに感謝、感謝。


正直なところ、一本の映画としてみると、鍵の奪い合いをするところがよりにもよってトムの映画と被っちゃったり、露骨に伏線を「置き」に行ってる展開にうんざりしなくもないのですが、トータルでみたら意外とそんなに気にならない。
声優陣も主演助演共に文句なし。特にミラージュを演じたオリラジ藤森の吹き替えは本職の方と遜色ない出来。そこがノイズにならないのが大変嬉しい。

そんなわけでビースト覚醒、めちゃくちゃ面白かったです。長年の夢を叶えてくださって本当にありがとうございました。