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ジョン・ウィック:コンセクエンスのRのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

※映画全編に触れています。

映画館で。

2023年のアメリカの作品。

監督はシリーズを一作目から手がけたチャド・スタエルスキ。

あらすじ

裏社会の掟を破り、粛清の包囲網を免れたジョン・ウィック(キアヌ・リーヴス「がんばれ!スーパーペット」)は裏社会を牛耳る組織、主席連合から自由になるべく立ち上がる。一方、連合はかつてのジョンの旧友でもある盲目の暗殺者ケイン(ドニー・イェン「カンフースタントマン 龍虎武師」)をジョンのもとに差し向ける。そんな中、ジョンは日本の友人シマヅ(真田広之「ブレット・トレイン」)に協力を求めるため、コンチネンタル・ホテル・オオサカを訪れるのだが…。

今週の公開にかけて、一作目から見直してきて、その公開に備えてきたわけだが、遂に一昨日の22日に公開!!ということで早速フォロワーの方々の熱いレビューが目白押しの中、しのごの言わずに行ってきました!!

ちなみに、個人的なシリーズの感想としては1はその当時から流行っていた「舐めてた相手が殺人マシーンでした映画(©️ギンティ小林)」の中では他の映画よりか…って感じで面白いけど手放しで喜べない感じだったんだけど、そこから2で大幅に面白さが増してきて、前作である「パラベラム」は個人的にその年のベストに挙げるくらい好きだった。

で、今作はどうかというと…。

結論から言えば、参った!今年は「ガーディアンズ3」でベスト確定かなと思っていたんだけど、好きなもんはしょうがない!マジで「アクション」そのものの「進化」がこれでもかと堪能できる、間違いなくシリーズ1番であり、そしてアクション映画の系譜の中でもネクストレベルな一作で今年1番面白かったです!!

まず、本筋に入る前に今回どうせならとIMAXでの鑑賞だったんだけど、これがまた大正解!!冒頭、主人公、キアヌ演じるジョン・ウィックが復讐の炎をメラメラと滾らせながら、その機会を待ち望むシーンで包帯を巻いた柱に拳を叩き込む場面があるんだけど、その拳を叩き込む音と響きがものすごい!マジで劇場全体にジョンの拳の音が鳴り響く感じで今まで何度もIMAXで観てきたけど、今作ほどそれで観て良かったーと開始早々思わされるとは思わなかった。加えて、この演出によって、ジョンのこれから待ち受ける数々の死闘のゴングであり、気合いの現れであるのが最大限に伝わる形にもなっており、とにかくIMAX鑑賞がオススメ!!

で、序盤。開始早々、ジョンが砂漠で二代目首長を撃ち殺したり、ニューヨーク・コンチネンタル・ホテルが爆発されたりと「えぇ〜?」の連続だったんだけど、1番衝撃的だったのはホテルの主人ウィンストン(イアン・マクシェーン「エルマーのぼうけん」)の右腕コンシェルジュであり、1番の友であったシャロン(ランス・レディック「ハード・プレイ」)がまさかの退場。

うっすらと死亡フラグを立てながらも、なんだかんだ前作でも生き残ったし、大丈夫だろう…とたかを括っていたら、まさかの死亡ということで驚きと悲しさはあるんだけど、死に際、悲嘆に暮れるウィンストンに抱き抱えられながら、主人として、そしてかけがえのない友として「あなたとご一緒できて光栄でした」とその忠義を全うした形での対峙とあって、シーンとしてものすごく切なくも美しかった。

現実でも、今年、シャロンを演じたランス・レディックが亡くなったこともあり、続編があるとしたら半端な形でいつのまにかいなくなるのは嫌だなと思っていたから、これはこれでシャロンというキャラクターの最期としては幸せだったのかもしれない。

そして、そんなシャロンを撃った張本人で、ホテルも爆発した憎き敵役グラモン侯爵を演じているのがリブート版「lT」シリーズのペニーワイズ役の記憶も新しい、ビル・スカルスガルド(「バーバリアン」)。今までもこういう高みの見物気取りの上層階級キャラは出てきたけど、その系譜もありつつ、後述の最強の殺し屋を招集したり、何度も包囲網を組んだりと余念がない感じ。それでいて、自ら刃を殺し屋に突き立てるなど不敵な面もあり、なかなか侮れない相手でもある。

一方、ジョンは、前作に継続して、四面楚歌状態のまま、数少ない頼れる相手がいる日本の大阪にあるコンチネンタル・ホテル・オオサカを訪れる。

我が国日本描写としては相変わらずとんでも日本描写はあるにはあるけど、日本人キャストや親日家のキアヌが関わっているとあって、描写としては許せる範囲。それ以上に日本の和テイストがこれでもかと拡大解釈された形でゴージャス感と近未来感が混ざり合ったホテル天オオサカの佇まいがものすごいことになっていて、これはこれで一見の価値あり。

で、そこでジョンが頼った数少ない友人というのが、日本を代表するアクションレジェンド、真田広之演じるシマヅ!!

これまた、同じ系譜の「ブレット・トレイン」でのエルダー役を更にパワーアップさせた感じの黒縁メガネが似合うイケオジキャラなんだけど、屈強な部下を従えて、連合が放った刺客たち相手に繰り出すアクションはまさにアクション俳優としての本領を遺憾無く発揮!!愛剣を片手にピストル撃ちをかましながら、バッタバッタと前に布陣して行われる激しい剣戟アクション!!いやぁ、痺れた。

そして、そんなシマヅな愛娘でホテルのコンシェルジュでもあるアキラを演じるのはエンディング曲も歌っているアーティストでもあるリナ・サワヤマ!これが映画初出演とは思えないほどの堂々たるアクションミューズっぷりで涼やかな顔立ちもめちゃクール!!肝心のアクションも真田広之やキアヌに負けず劣らずの戦いっぷりで女性ならではのしなやかさを活かして倍以上ありそうな巨体の敵の股ぐらからくぐり抜けたり、そいつの背中に乗っておんぶ状態になりながら両手に持ったナイフでグサグサとオーバーキルする姿がカッケー!!俺自身彼女の存在を全く知らなかったわけだけど、どうやら海外を拠点に海外アーティストからも熱視線を送られている注目株らしく、今後も要注目な存在だ。

ただ、やはりここで全てを持っていくのが、侯爵に娘の命を人質に招集された盲目の殺し屋ケインを演じた、遂に登場!!ドニー・イェン!!これがまた彼のキャリアの中でもトップクラスにものすごいんだけど、今作では盲目の殺し屋というキャラクターということでこれまでの超絶アクションは堪能できないのかと思いきや、盲目というハンディを最大限に活かした戦い方をするのが熱い。愛用の武器が仕込み刀になっている杖なんだけど、その杖を使って、周囲の空間を探索しながら敵の位置どりを探ったり、なんかセンサーみたいなものを壁に貼り付けてて何かなーと思ったら、それが実は後からやってきた敵に反応するインターホンになっていて、「ピンポーン!」となった音の方向に対して銃弾を浴びせるケレン味がたまんねーーー!!かつてこんな盲目アクションがあっただろうか!

また、ドニー・イェン自身のポテンシャルもここでは遺憾なく発揮しており、剣戟アクション、銃撃アクションに加え、徒手空拳も杖で抑えた敵にジャブを浴びせまくって、極め付けの振りかぶった相手に最強のパンチをお見舞いするシーンは度肝を抜かれた。その後のジョンとのまずはお手合わせもまるでクライマックスなの、これは?ってくらいの超絶アクションのつるべうちで、いやこれはドニー・イェンというアクションスターのキャリアの中でも俺が観た中では1番すごいアクションになっていたのではないだろうか!

また、そこでのジョンの見せ場も負けず劣らず!!ガラス張りの部屋の中で行われる戦闘シーンではなんとヌンチャクアクションを披露するんだけど、鈍痛がこちらまで伝わってきそうな重い一発一発を前後の敵に交互に繰り出したと思ったら、それを小粋に首にかけて銃に切り替えて戦うケレン味!!相変わらずキアヌかっけーー!!

で、そこで、なんとかケインと連合の魔の手を掻い潜り、生き延びたジョンが向かった先は古巣であるベルリン。ここで、前作でもちょっぴり登場した、どうやらジョンのホームである「ルスカ・ロマ」の本拠地を訪れる。

そこで現首領のカティア(ナタリア・テナ「愛してるよバカ」)からジョンが組織の後ろ盾になってもらう代わりにカティアの父で、ジョンの叔父を殺した相手を殺す条件を突きつけられる。

で、そのキーラを演じるのが、これまたアクションスターのスコット・アドキンス(「セクション8:リベンジ・ミッション」)。監督直々に是非!ということで念願の出演となったわけだが、今作では特殊メイクに扮して、前歯まっ金々で巨大な体躯のおよそ元の彼と判別できない成金野郎を演じていて、なんだ、スコット・アドキンス感全然ないやん、顔見せ程度かと思ったら、その体躯を生かしたパワープレイでジョンを鷲掴みにしたり、背負い投げしたりと、その鈍重そうな体のどこにそんな力が隠されていたんだ!ってくらいの面目躍如の活躍でさすがスコット・アドキンス。監督の直々の推薦だけあるポテンシャル。

で、そこではクラブ内の戦いがメインとなっていくんだけど、ジョンと敵対していたケインも同席していて、ひとまず共闘という形で共に戦っていくんだけど、ここで彼らと共に本格的な活躍を見せるのが劇中では「ノーバディ=名もなき男」として伏兵的なキャラクターとして登場するトラッカーを演じたシャミア・アンダーソン(「ブルーザー」)。この人が完全ノーマークだったんだけど、登場時は犬を引き連れた登山家ルックのちょい強殺し屋の1人かくらいの印象だったんだけど、これがまた激強!!犬を引き連れたキャラクターといえば、前作「パラベラム」のハル・ベリー演じたソフィアが印象的で、また犬かよ!って感じなんだけど、前作のソフィアの2匹のわんちゃんが統制のとれたある種、優雅さや誇り高い感じがあったのに比べて、今作のトラッカーのワンちゃんは獰猛極まりない!!トラッカーの「タマ!」の一声で相手の急所に噛みついて、何もそこまで…というくらい噛みちぎったり、そのまま首をブンブン振り回しながらひきづったりと犬怖っ!なアクションが満載!!またトラッカー自身も無駄で的確な銃撃とアクションを披露したかと思えば、その後のシーンで登山家ルックで背負っていたリュックサックが実は背面の敵の弾除けになっていたり、背負っていたリュックを翻して、カバー部分を前面に装着するとそれが防弾チョッキになっていたりとギミック要素も溢れていて面白い。すっかり「舐めてた」要素の薄くなってしまったジョンの代わりに意外な活躍を見せ、戦況を引っ掻き回すのが彼というわけ。

で、その後なんとかキーラを殺し、その証拠にトレードマークの金歯の前歯を抜いて持ち帰ったジョンは、はれて「ルスカ・ロマ」の後ろ盾を経て、ウィンストンを介添人に侯爵に「決闘」を申し込む。

この決闘というのが、ジョンにとっては裏道ルートというか、唯一残った手段なんだけど、一対一でのガチの決闘に勝った暁にははれて連合から自由の身になれるということで、舞台はフランス、パリ。夜明け前のサクレ・クール寺院で決闘用の拳銃一つで戦うことに。

もちろん侯爵自身は言うてもジョンとの差は問題外で、彼の代わりにケインが戦うことになるんだけど、狡猾な侯爵は時間に間に合わなかったら不戦敗というルールを逆手にとり、ジョンがたどり着くまでの道のりに懸賞金上乗せで数多くの殺し屋を放つ!!

で、遂にクライマックスの死闘が幕を開けるんだけど、まずは予告でもあったエッフェル塔の凱旋門を囲むラウンドアバウト(艦上交差点)を舞台とした「カー・フー」バトル!!今作前作の様々なアイテム×カンフーの「○○フー」バトルが一つのキモだったわけなんだけど、今作ではそれまでは既存のアクションを飛躍的に進化させることで見せ場を作っていたんだけど、ここでは、その分の「○○フー」要素をふんだんにぶち込んだカー・フーが堪能できる!!

エッフェル塔をぐるっと囲う形でひっきりなしに車が横断しているんだけど、そこに殺し屋が大挙して押し寄せると止まることがない車の波に時折立ち止まり、掻い潜りながらバンバン敵に車が突っ込んで吹っ飛んでいくカオス感!!ちゃんとクルマの行き交いを計算に入れながら超絶銃撃アクションで数多くの敵を倒していくジョンの経験がものを言うシーンとなっているが、それにしても車こんなヤバい事態になってるんだから止まれよ笑。完全なダンジョンの障害物と化して敵が飛んでいく様がめちゃくちゃ面白かった!

で、こんな見たことないアクションシークエンスの後、ジョンが逃げ込んだ先は寂れた廃墟。あれだけ変化球のアクションを見せられた後だから見劣りするだろうなぁと思ったら全然そんなことなく、そこでジョンが敵が使っていた散弾銃を手にするんだけど、何やら敵のカスタムによって特殊な発火化合物を仕込んだ「ドラゴンズブレス弾」と呼ばれる弾が撃てるようになってるんだけど、これがまぁーすごい。その名の通り、ドラゴンが口から吐き出す火球が如く発射すると強烈な火花で敵を焼き尽くし殲滅する!!で、もう片手には地下の王バワリー(ローレンス・フィッシュバーン「オールド・ナイブズ」)から譲り受けた「ヴァイパー(毒蛇)」と呼ばれるハンドガンで敵を撃ち抜く!!しかも、そのシーンを通常のアングルから次第に上空にカメラアングルが変わっていき、下を見下ろす神視点でのアングルで敵を燃やし、撃ち抜き、殲滅するガンアクションシークエンスに切り替わっていくからたまらない!!マジでどんなもの見せられてるんだよ!最高かよ!!

で、その興奮も冷めやらないまま、寺院目前に立ちはだかるのは222段にも及ぶ階段。そこにも殺し屋たちが立ち塞ぐんだけど、そこではなんといっても中ボスにしてはあまりにも渋とく何度もジョンの前に立ちはだかるチディ(マルコ・サロール「アルティメット・ソルジャー」)との戦いでの壮絶な階段落ち!!自ら進んで落ちていってるんじゃないかってくらい上から1番下まで転がり落ちていくんだけど、何もそこまで頑張らなくても…というくらい痛々しく、もうこの時点で死ぬだろ!ってくらいの階段落ちで度肝を抜かれた!!

そして、そんな瀕死状態のジョン、もはやここまでかと思ったその前に手を差し伸べたのはケイン!!決闘を前に死ぬんじゃねぇ!とばかりに再び共闘して階段を駆け上がっていくんだけど、なんだろうこの不良漫画感は!熱すぎる!!

ただ、ここで持っていくのはトラッカー!!その前の廃墟でジョンと遂に戦うんだけど、力及ばず敗戦、リタイアかと思われたその時、別の場所で追ってきていたチディが今にもトラッカーのワンちゃんを邪魔だ!と撃ち殺しそうになっているその瞬間を元々はワンちゃんを殺されたことで始まったジョンの戦い、そりゃ助けるわな!な流れでトラッカーではなくチディを撃って救ったジョンに恩義を感じてかわからないがチディとの戦いで助け舟を出すんだけど、「俺の犬を殴ったな!」とワンちゃんを放ち、「タマ」の合図でタマを引きちぎった後、極め付けのワンちゃんのオシッコシーー!!マジ爆笑!!

そして、数々の戦いを経て、遂にラストステージであるサクレ・クール寺院での決闘シーン。共闘したケインと対峙し、一発の銃弾で勝敗を決す流れの中で夜明け前の決戦場がムードを掻き立てる!!30歩離れての初戦は決着がつかず、2度目の決闘ではお互い重傷を負いながらも再度決着がつかず、ほとんど至近距離でのラストバトル、ケインの銃弾がクリティカルヒットし、ジョンが品質の状態になって、「トドメは俺が刺す!」とどこまでも卑劣な侯爵が銃弾を込めて銃を構え、もはやここまでか…と思ったその時、側で見ていたウィンストンが「彼は気づいていないな、彼は撃っていない」の不敵な一言で気づいた時には時すでに遅し!!銃を手にしたジョンが「コンセクエンス(報いだ)。」の一言でヘッドショットキル!!

まさに殺し屋の流儀と誇りをかけた戦いの中で遂に勝ち取った「自由」への勝利、そのカタルシス。シーンの美しさと相まって鮮烈に印象に刻まれる決着だった。

ただ、その戦いの後、精魂尽き果て、ケインの放った銃弾により死目前のジョン。その最期は亡き妻との思い出に浸り「ヘレン…」とその名を囁きながら穏やかに倒れるラストだった。

と言ってもなんだかんだ生きてるんでしょ!と思ったらその後のシーンでしっかり墓標に名を刻まれ死んどるー!!エンドロール後のシーンで絶対出る!絶対生きて出てる!!と最後まで期待してもその姿は拝めず、本当に死んじゃったのかなぁ…。

ただ、仮にもこのままで終わったとしても、亡き妻が残した1匹の犬の死で始まったこの終わりなき戦い、一作目から追ってきて、2、3と順を追って、格段に進化していくこのシリーズを見終わった感慨としてはつくづく「アクションってすげぇ!」ってこと。

一つのアクションの中でどれほどのアイディアとケレン味が考えに考え抜かれて編み出されたことだろう、キアヌをはじめ、数多くのアクションスター、そしてスタント、コーディネーターをはじめ作り手たちが「観客に度肝を抜かすアクションを見せたい!」というその想いがシーンとして、脳に刻まれ、今もなお思い出すたび胸の鼓動が鳴り止まない!

殺し屋たちが息づく裏社会という突飛な世界観の中で、必死になりながら、自由を求めて戦い抜くジョン・ウィックという1人の殺し屋の生き様を愛さずにはいられない。

間違いなくアクション映画に名を刻む一作となっています。劇場で是非に!!
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