スパイク・リーと言えば黒人原理主義者っぽい立ち位置で、黒人による黒人の為の映画って感じでしたが、バブル時代の日本の若者は黒人はかっこいいレベルでドゥザライトシングやモベタブルース、ジャングルフィーバー、マルコムXなんかを観に行ったものです。
ところが、サマーオブサムとかインサイトマン、パクチャヌクの劣化リメイクのオールドボーイなんかを監督し始めたんで、なんでも撮るアメリカの堤幸彦みたいな立ち位置になっちゃたんだろうな思ってました。
そんな折、昨年のブラッククランズマン、そして本作と原点復帰となったのは嬉しい限りです。
同世代のジム・ジャームッシュはゾンビでオワコンですが、スパイク•リーはなんとか回避できたようです。
公民権運動が収束を迎えた1968年、5人の若者はベトナムに送られ、敵側の北ベトナムの宣伝放送でキング牧師の暗殺を知ります。ここで、北ベトナムの女性アナウンサーが咥えタバコで派兵された黒人兵士達に一曲プレゼントします。このセンス。このワンシーンが本作の全てを物語ってます。
しかも、オールベトナムロケ。キングコングのスカルアイランドが突破口となり、ベトナムでハリウッド映画が撮影できるようになったのもベトナムが今は国際社会の一員となった証で、ポスト中国として世界が注目しているからでしょう。
ベトナムは明るい未来を手に入れつつあります。
方や、アメリカ社会はどうなるのでしょうか。
ラストにblack lives matterも出てきます。
トランプがパクったニクソンのセリフも出てきます。しかも白人の悪玉であるジャン・レノに赤いトランプキャップまで被らせます。
なんてど直球なメッセージ。
まさに今観なくてはならない一本です。