居場所ができると感覚が麻痺する。
親になるということ。
幸せムードたっぷりなヒューマンラブストーリーからサスペンスへの転換。
狂った家族の感情や行動…すべてにおいて恐怖が募る。
人を簡単に信じることができない。それが子供であっても。
なんとも恐ろしい問題作。
下手なホラーよりも怖いサスペンス。
何が怖いって、終盤の展開はともかく家庭での家族のすれ違いってリアルにありえるなと。
そのすれ違い方が異常なんですが、まったくもってフィクションだと思えない現実感。
土屋太鳳演じる市役所職員の福浦小春。母。
田中圭演じる開業医の泉澤大悟。父。
COCO演じる小学生の泉澤ヒカリ。娘。
キーパーソンはヒカリです。
物語の中盤にとんでもない事件が巻き起こるのですが、その事件の発端が一つの焦点。
やったやってないは正直そこまで重要ではなく、誰の言葉を信じようとしても、誰かが嘘をついていれば真実はわからず、そして関わった人間がみんな損をするんです。
仲良しな家族がバラバラになる。
絶対に嘘をつかないと宣言する子供。
何が本当で何が嘘なのか。
子供のことを全身全霊で信じるのが親の役目なのか。
本作を観て必ずしもそれが正しいことではないと感じさせられました。むしろ子供を愛するが故、盲目になってしまうのです。
ラストシーンはあっと驚く展開。
前半は本当に素敵な恋物語なのに、後半の転落ぶりが凄い。これは褒めてます。
こんなに人間が、子供が、怖いと思ったのは久しぶりの体験でした。
またとんでもない子役が現れたなと。
ちなみに自分の鑑賞済み作品の中では土屋太鳳の『累』の演技がベストアクトだと思っているのですが、それには及ばないものの妖艶さは過去最高かもしれません。大人の女になりましたね。
※2021年劇場鑑賞12本目