なかなかクレイジーな映画だった。
冒頭から立て続けの不幸に見舞われる小春だが、金持ちの医者である大悟に出会い運命が好転していく。
ここまでの話は割とコミカルなロマンスムービーのように、陰をほとんど描かずに進んでいく。
この辺りの描写も時間をかけているので、やや退屈はしてくるのだが、小春が当たり前のように専業主婦になり、新婚生活が始まってからはトーンが変わる。
急にリアリティが顔を出し、徐々にホラーな雰囲気が漂い始めるのだ。
大悟親子との関係にもヒビが入り、「良き母親」の呪縛を持つ小春もゆるやかに壊れていく。どうしたらいいのか答えのない悩みに苦しむ小春に同情する。
このように、嫌～などん詰まりの気分を存分に味わってから、予想だにしなかった酷い結末を迎える。これに何故かスカッとしてしまったので、フィクションだから良いよね？と、少し罪悪感を覚えた。
良い意味でヨーロッパ映画のような雰囲気や、語りきらない美学みたいなものもあった。
めでたしめでたし…なわけあるか！
