ぐり

哀愁しんでれらのぐりのレビュー・感想・評価

哀愁しんでれら(2021年製作の映画)
3.6
"完璧主義"……あの夫婦を支配するこの価値観は、自分の子供を商品として扱う。説明書通りに、お手本通りに作らないと、故障したり不具合が起きたりしてしまうから。そしてそのせいで、説明書に書いていないような異変に対応できない。正しい対応の仕方がわからない。子供の頃に両親から清く正しい愛情を与えてもらえなかったと感じるふたりは、自分の過去の経験でしか対応できない。それがたとえ、虐待だったとしても。ふたりは娘を正しく作ってきたから大丈夫なはずと信じきっていて、本当は娘本人なんて見ていなかったのかもしれない。そんな完璧を求めすぎた夫婦が作り出す美しい結末。どうかわかってあげてください。あれ以外彼らには方法がなかったんですよ。

結婚前はまだしも、結婚後も大悟が変わらず紳士的だったのは、小春が"母親"になれていたから。ひとたび"理想の母親"の定義から外れるとブチギレる田中圭の豹変っぷりたまらんでした。怖すぎ。母親である小春のことを何もわかってませんでしたね。商品を正しく作るための道具だとでも思ってるの?ほとんど育児に参加してなかったけど今までどうしてたの?あれ、もしかして、前の奥さんが亡くなったのって……?ひ〜、怖ッ。そしてそんな大悟の価値観に染まっていく小春……いいですね。楽しいモンペの作り方🎶って感じで最高でした😸娘のひかりも子供ながらに恐怖でしたね。いくつになっても恋する女は恐ろしいです。

全体的に配役が合っていたのも◎こういうちょっと狂気じみた気持ち悪い映画もっと増えてほしいですね(私が知らないだけかも!)でもこういうの観ると私絶対結婚できないし絶対母親になれないって思っちゃうんですよね…「何にも知らなくても、親にはなれるんだよ」って言われてもね…結局シンデレラなんて、ただの夢物語なんですよ。シンデレラはあの後離婚しただろうなとか考えてしまうのはやめましょう。最後に、王子様田中圭大好きでした😸DV男の役待ってます😸

以下の文は冒頭に置こうと思ったんですけど、ちょっと説教臭いし解釈違いかもなので記録として書かせていただきます📝(多分あとで消すかも!)

私、本当は目撃したんです。昨日電車の駅、階段で、転がり落ちた子供と突き飛ばした女の薄笑い。私驚いてしまって、助けもせず叫びもしなかった。ただ恐くて逃げました。私の敵は私です。

中島みゆきの「ファイト!」にこんな歌詞があります。この"突き飛ばした女"を皆さんどう思いますか?子供が転がり落ちてしまったのは、故意?事故?なぜこんなことになったんでしょうか?その日の前日旦那の浮気が発覚した、旦那からDVを受けていた、子供がクラスの子をいじめていると学校から連絡が入った、子供が全く言うことを聞かない、ストレスが溜まりすぎていた、など、いくらでも想像できますが、結局その女の背景を知らないと、彼女が悪いとは完全に言いきれないんですよね。なんにも知らないのに、他人が他人の家庭事情に介入する必要なんて、全くないんですよ。
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