[あの少年は誰だった？、カナダの『アンダー・ザ・シルバーレイク』]　50点

7歳のとき、家の近くの森の中で片目を失った少年を見つけたアビーは、そのまま彼が誘拐される現場を目撃する。その記憶は彼女の中にとどまり続け、母親の死によって帰郷した彼女は少年の行方を調べ始める。一方、母親の遺した古びたモーテルは地元の若手実業家チャーリー・レイクによって取り壊されようとしていた。そしてその二つの事件は偶然か必然か交わり合っていく…というカナダの『アンダー・ザ・シルバーレイク』。陰謀論者のダイバーをデヴィッド・クローネンバーグが熱演しているのが面白い。犯人かもしれない人物を自分所有になったモーテルにおびき寄せて証拠を得ようとしたり、地元の御曹司の大屋敷に単身喧嘩を売りに行ったり、妹のパスポートを偽装してアメリカに乗り込んだりと行動力の権化とも呼べる勇敢な調査によって、登場人物は数少ないながら真実と嘘が混ざりあった"陰謀"の物語が完成している。そもそも"陰謀"には人を惹きつけ続ける一定以上の"ロマン"が必要なのだが、そこは実体験を基にしているということもあって、続きが気になる程度にはそれがあったのかと思う(『アンダー・ザ・シルバーレイク』じゃん、でまとめた部分を引き伸ばしてみました。私にはこういう膨らませる能力と努力が絶望的に足りない)。

ただ、物語の壮大さや胡散臭さという最も重要な点で『アンダー・ザ・シルバーレイク』の方が勝っている。Catherine Lutes によるノワール映画みたいないくつかのショットだけは評価したいけど、胡散臭さの演出のためにアビーが過去に精神病で入院していたという設定をブチ込むのとか、初心者のやることでしょ。

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個人的には好き。

もう一捻り展開があっても良い気はするが...

クローネンバーグ出演には驚いた。