パラサイト 半地下の家族 (モノクロVer.)のたらこのネタバレレビュー・内容・結末

通常版ではなく初見でモノクロverをみました。カラーを観ずに、モノクロから観ることに抵抗感が鑑賞前はありましたが、モノクロのみの鑑賞で十分、むしろモノクロのほうが味わいぶかい映像になるのではないかと思いました。
モノクロverで観ると現代的な道具、例えばスマートフォンなどが出てくるショットだと違和感がありますが、モノクロならではの情緒もあるのではと思います。特に引きのショットでは、構図の良さが際立ち、非常に美しい画であると思いました。
内容においては、コロナ禍、そして世界的な反差別運動の渦中にある中で、非常に示唆的だと感じました。人間に対する尊厳とはなにかということを考えさせられますし、そのことが映画を大きく動かしています。
前半はややご都合主義のように感じられ、後半では前半に見せたキム家族の優秀さはどこへ行ったのやら、軽率なミスを犯してしまい、ちょっとモヤモヤします。パク家がキャンプへ行き、キム家族が「地上の自宅」を満喫するシーンでは、繰り返し豪雨のショットが続いたことが直接的な表現だと思いましたし、「半地下」が陥没してしまうような記録的な豪雨ならばキャンプが中止になることを予想できなかったのかと思ってしまいました。
いずれにせよ、そのようなことは些細な懸念であり、人間の醜さ、そして人間の最低限の尊厳を素晴らしいギミックで表現なされていることは非常に優れていると思いますし、アカデミー章を複数受賞したのも納得でした。
アジアからこのような素晴らしい映画が出てきたことは羨ましい限りです。