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パラサイト 半地下の家族 (モノクロVer.)のebulogのレビュー・感想・評価

4.2

〈感想〉
僕らの当たり前の価値観「お金を払えるからサービスを受けられる」に一石を投じてくる衝撃の作品。

僕は刺す側にも刺される側にもなる危険性があるんじゃないかってすごく怖くなった。

お金を払う時は謙虚になって、「自分に良いサービスを享受するだけの価値があるか」を考え直してみようと思った。

あとは、刺す側・刺される側にならないために雇われる時・雇う時に今後気をつけたいと思ったことがある。
雇われる時
「自らの労働への対価として十分か」
「お金を渡してくれる人を尊敬できるか」
雇う時
「お金を渡す以外に、相手が何を求めているか」
「雇い主に忠誠を持てるのか」



〜以下、【現代のお金持ちと資本主義の本質】について考えたこと〜

突然だが、僕らがビジネスクラスで乗っている航空機にトラブルが起きたとする。
少ない出口からの脱出の順番は、何番目になると現場で考えるだろうか。

このとき、
「ファーストクラスの人よりは後で、エコノミーよりは先だろう……」
とナチュラルに考えてしまうと、この映画では刺されるのだと思う…

ほかの例は
・街中でホームレスを汚いと決めつけ、不必要に避ける人
・グリーン車から、ぎゅうぎゅう詰めの自由席を見て優越感を感じる人
など??


✳︎
〈なぜ刺したか〉

雇い主の家族は確かにうざいところもあった。でも、「うざさ」は事件には関係なさそう。

家族はお金を求めて詐欺を働いたが、「お金持ちを知ってしまった」ことが事件の根本的な原因かと思った。

✳︎
〈テーマ〉

そもそも資本主義とは
「お金を対価に、モノやサービスを売ってくれる人がいること」

一方、本作で描かれる現代のお金持ちは
「売ってくれる人がいるからサービスを享受できる」ことを知らないor忘れた人たちとして描かれている。

✳︎
〈作品の主張〉

僕たちはお金を積むからファーストクラスやビジネスクラスに乗れるのではない。

サービスを提供してくれる人がいるから、ファーストクラスやビジネスクラスに乗れるのだ。

上の例の、飛行機脱出だけではない。
住む家を選ぶ、移動手段を選ぶ、食べ物を選ぶ、着る服を選ぶ…

その全てのサービスが、お金を対価にサービスを提供してくれる人がいるから成り立っている。

お金を払いさえすれば良い と考えると、サービスの提供者から反感を持たれることを、この映画は主張している。

その結果
1.家族の話に、同じ立場(父)から踏み込んでくる運転手に不快感を示す
2.地下のニオイに対して、自分たちとは「違う」として嫌悪感を示す
3.周りにたくさんの死傷者がいる中で [お金持ちである自分の軽症な家族は、重症の従業員よりも優先して搬送されるべき]と考える
みたいなシーンが生まれ、殺される結末 と繋がったのだとおもった。
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