1968年のジャン=ピエール・モッキー監督作品。『Un drôle de paroissien(1963)』『言い知れぬ恐怖の町(1964)』に続くモッキーと大人気コメディアンのブールヴィルのコンビ3作目。モッキーは当初この作品を『Le Tube』と名付けようとしていた。しかし配給会社から当時流行っていた「grade」という単語を入れるように強要され、それが気に入らなかった監督は抵抗として感嘆符を括弧で括った『La Grande Lessive (!)』とした。同じことはすでに4年前の『言い知れぬ恐怖の町』で起こっている。この作品も『La Grande Frousse』として公開されており、興行的に大失敗だったのだが1970年代初頭にモッキーが権利を取り戻し、再編集して『La Cité de l'indicible peur』とタイトルを改めたところ、初公開時よりも好意的な評価を得ることになった。 ブールヴィルとのこれまでの2作と大きな違いはそれまでがモノクロ作品だったのに対し、本作はカラー作品であるということだ。長らくモノクロの映像を好んでいたモッキーだが本作はテレビに夢中になってしまう人々についての映画ということもありカラーとなっている。というのもフランスでカラーテレビの放送が開始したのが1967年の10月からなのでかなりホットな題材であったのだ。