じゅん

ロストブレット 窮地のカーチェイスのじゅんのレビュー・感想・評価

3.2
TAXiとマッドマックスを足して4で割ったようなフランス映画。
撮影も役者も渋いというか地味です。

主人公は屈強実直、仁義に堅くて強い。でもって改造や溶接に強いクルマの整備士。
敵役の、裏で麻薬商売やってる悪徳警官が、顔付きや無精髭や言動など微妙に「レオン」のスタンスフィールドっぽいです、やっぱり。エンディング近くで手榴弾持ち出してきたので、この人も爆死してくれるのかと思ったけど、ゲイリー・オールドマンみたいにはいかなかった。
ストーリーも、一本道ではありつつ細かいツメが雑で微妙。

この映画の美点は、マルセイユあたり? のフランスの、割とカーアクション推しの一本であること。特に、ルノー21ターボという、好きな人は好きないぶし銀の旧車・名車が下手すると主演の役者以上に主人公を張っていること。もうね、寡黙で強い主人公の男が操る、赤くて四角いヴァンテアン・ターボががんばって路上で戦ってるシーンたち。要所要所で直4縦置2リッターターボのブローオフバルブの「プッシャアー」をちゃんと観客に聴かせてくれる。たまりません。

なのでこれは、古めのフランス車ずきのオジサンが、まるでアダルトビデオを観るように、21 Turboのプッシャァーなシーンだけ飛ばし飛ばし鑑賞する。そんなスタイルでぴったりな一本かもしれません。
つまりこれは「ヴァンティアン・ターボ ポルノ」です。ここにピンと来る人にはお勧めだし、ピンと来なかったら、スルーでいいかも。ピンと来る人は、うーん、国内に15人ぐらいはいるかなぁ。