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ヤクザと家族 The FamilyのHIROのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.7
2時間15分、最近の映画は90分100分が多いが久しぶりの長尺。最後までまったく間延びなく、上映後しばらく動けないくらいずっしりとした作品で大切なものを受け取った感覚。
綾野剛が自ら言うように、集大成の映画となったと思う。
私的な彼の映画のベスト1は「そこのみにて光輝く」だったけど、本作が超えてきたと言える。
舘ひろしの存在感は間違いない。
敵対する豊原功補、駿河太郎、マル暴の岩松了がほんとに憎ったらしくて成立した。
由香役の尾野真千子と出会いの頃のやり取りは、ちょっとクスッとできたし、愛子さんの寺島しのぶがいいアクセント。
そして、成長した愛子の子、翼役の磯村勇斗、綾野剛演じる賢治の舎弟、市原隼人がまた脇で輝く。

30年〜20年前、ヤクザが怖かった時代。
暴対法からの様々時代の流れで、銀行口座も作れず、家も借りれないなど、排除され、排除されたヤクザは、市原隼人演じる細野のように息を潜めて生きるか、姿形を変えてフロント企業や半グレのバックになったり、今でも怖い世界に変わりがない。
劇中でもプレジデントやセンチュリーなど黒くて大きな車種から、いまはプリウス。
人権とは、そこも含め、栄枯盛衰を描いた本作。世間の目、SNSなどのネット社会の怖さ、そこには、さまざまな暴力が潜んでいることを忘れてはいけない。

最後にミレパのエンディング曲「famila」が本作のすべてを包み込むように余韻を残す。例えば1000ピースパズルの最後の1ピースがピタッとハマった感じ。

とてもバランスのよい作品である。
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