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ヤクザと家族 The Familyのmilfakのネタバレレビュー・内容・結末

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

最っっっっ高の脚本では?そしてこのキャスト。鬼。(←褒めている)


見る前はただ『単語と単語』っていうタイトルだと思っていたけれど、観了した今タイトルの重みがすごい。意味合いが増え過ぎて無理。(←褒めている)

ヤクザの父を持ちシャブ漬けで死んだ(そうだよね?こっから間違っていたら恥ずい)彼のことを肯定できていなさそうな少年、けんぼうが、最終的にヤクザの義理人情で支えられていくのも、出所してから変化し過ぎている社会で会いたい人に会い、でもそれがとんでもないことだという現在の価値観にぶつかり、求めていたものを手放すことを強いられるどころか破滅へと巻き込んでしまい、
彼はアレだよね、そういうのを肌で感じた上で、つばさの衝動性を見抜いてつばさの将来のために自分が動いたのかな、、と思わざるを得ないけんぼうの彼の中での義理人情がもう。アツい。泣く。(そしてあの堤防?でのエンディング)


ヤクザについての知識が私は無さすぎるのだけど、この映画を観ただけの感想としては、とにかくアウトロー側に感情移入させられざるを得ない、映画故の演出かもだけど、ヤクザ側の気品高さに圧倒された前半から後半の高低差というか、ギャップがもう。本当に人権これいずこへ、、という感じ。流れる時間上、どれだけ過去に何かを奪われていたとしても、あれほどの排他的な社会にしてしまうのは如何なものだろう。報復を受けるのは同じ肩書きの人間だとしても、その肩書きが内包するものも時間の流れと共に少なくとも変わる以上、直接の当人以外の人たちがあの報いを受けるのは、、(それがまさに今現代なのかもですが)胸が詰まって仕方がなかった。
義理人情ベースの血のつながりもない他人の世界:ヤクザ社会が描かれる一方で、同じ他人同士がとても淡白に描かれるユカの周囲の社会、、、苦しいです。自分の環境に馴染みがないだけかもだけど、でもそれにしてもあそこまで急に敬遠されるものかね?ヤクザの影ってそこまで強いの?
なんか、映画を観るのは違う人の、いろんな背景を覗き見しているような感じだから、また自分に刻んでおこうと思ったね、法律とか政策を疑っていたいというか、それは極端だけどそれはそれで受け入れた上で、付き合い方とか最終、自分の尺度はしっかり持っていたいというか(役所の周りの人とかもなんかそういうわけじゃないかもだけど、だんだん何を言っているかわからなくなってきた)


あと少し本題とはズレるんだろうけど、ネットリテラシーの低さも見ていて苦しかった。自分が映っていない写真って尚更無許可にネットにあげてはいけないでしょう、、そして挙句は関係のない実名までSNSに書き込める浅はかさ、、とまあでもそれも、自分ら年長側の責任として、感じざるを得なくて苦しかった。いやこれはある種の変化の代償なのかもだけど。(もういよいよ作品と関係ない)


久しぶりに映画でこの満腹感、この重々しさ、いや、、、、
最近イチの映画体験だったな。自らの没入っぷりとそんな作品に谢谢。
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