それぞれの時代を舞台に一人のヤクザの生き様を描いた作品。
バブル崩壊後のギラギラした空気感を纏った1999年。
ヒルズ族が注目され金の匂いを強烈に感じる2005年。
暴対法施行後のヤクザが生きづらい2019年。
時代の香りを強烈にフィルムに叩きつけた傑作。
兎に角、それぞれの時代の描き分けが素晴らしいし面白い。
まさに日本にしか作れない作品だ。
1999年は香港ノワールを思わせる強烈な赤とバイオレンス描写。
2005年はスタイリッシュな空気感。
2019年は自然さと冷たさを感じる静かなトーン。
これを股にかけて違和感のない熱演を見せる綾野剛にも感服。
今まではダークヒーロー的な側面が強かったヤクザ映画に、時代を描くことで社会的弱者としての悲哀まで繋ぎ込んだ脚本が本当に見事。
半グレやSNSの入れ方には取ってつけた感も無くはなかったですが、テーマを考えると必要だったのかなと。
エンタメとしてのレベルも高く、舘ひろし含めキャストの好演も光る傑作でした。