もやし

ヤクザと家族 The Familyのもやしのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
5.0
なんか圧倒的な作品やな。めちゃくちゃ感動したわ。ただの暴力集団のはずのヤクザを描いてるだけなのにこの神々しさは何。

ヤクザを憎んでさえいたヤンキー若者がヤクザに入ってからの長い長い20年の重みを描く。


最初はヤクザのアホ臭さが際立つ感じだったな。
子供の喧嘩の延長線上でしかないくせに仁義だの何だの馬鹿じゃねえのとか思いながら見てた。

主人公の女性の口説き方下手すぎてめっちゃ苦笑いだった…笑



そんなこと思いながら見てたけどそんなものを遥か飛び越える惨状が未来の登場人物達には待ってた。ここまで悲しいとは。

最近よくイジメ加害者とかが社会的に抹殺される事案が多々あるけど、あんな感じのモヤモヤ感。確かに酷いことをした連中だけどそこまでの罰を受けるのが当然なのか…?っていう。罰とは何ぞやってすごく考えました。


この映画ほんとただのヒューマンドラマじゃなくてすごく多層的なんだよな。
あの展開がこの台詞に繋がるのかっていう… 時と罪の重みが半端なくのし掛かってくる。



俺は犯罪は犯したことないし他害的な行為もほぼしたことないけど、アラサーで未だにフラフラしてて最近よく10代20代の頃もっとちゃんと生きれば良かったって思う。
この人達もヤクザという道を選んでしまったがために人生が破壊されてしまったわけだけど、ちょっと自分も遠からずという感じだった。
まともに生きるってことがどれだけ大変なことかがわかるよね。

でもまともに生きなかった人が単に努力不足かっていうとそれも違うと思うんだよね。それがこの映画の泣きどころであって。

必死に生きた結果「あんたさえいなければ」って沢山の大切な人達に言われる人生って何て切ないんだろう。しかも皆心底から憎んでるわけでは決してないんだよなあ。泣けたわ。


エンディングの神々しい歌もこの映画の格上げてたわ。あれキングヌーのボーカル?
もやし

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