Rou郞

太陽がいっぱいのRou郞のレビュー・感想・評価

太陽がいっぱい(1960年製作の映画)
5.0
燦々と照らされた町と広がる美しい海。そこで絶世の美男子が黒々しい犯罪を行う。全ての要素がアランドロンを引き立たせる名作映画。

特筆すべきはアランドロン演じるリプリー。彼の見え隠れする「悪意」「欲」は観ていて惚れ惚れしてしまう。
計画はシンプル。だが成し遂げるには忍耐と執念、度胸が必要であり、リプレーには全てが備わっている。嘘をつく時や部屋でサインを書き続ける姿は淡々としている。だが時おり見せる彼の表情は不敵である。

ここで物語を面白くするのがハプニングとアクシデント。あらゆる障害が主人公を襲う。常人なら諦めるか失敗に終わるが、リプリーは機転を利かせ乗りきる。
中には、見ようによって思わず笑ってしまうものもある。だがリプレー自身は必死であり、一見その様子は美しい街や美青年には不釣合に見えるがその姿がリプレーの内面を覗かせてる重要なシーンに思える。

いまだにラストシーンを観る度、震え言葉を失う。観た時の思いを語りたいが、どうしても言葉にできない。
言えるのはあまりにも恐ろしく、儚い。美しい海とニーノロータの音楽がいつまでも頭から離れない。

大好きな映画です。
Rou郞

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